高田松原津波復興祈念公園
2020年04月17日
【序章】
2020年の冬は暖冬で東北のスキー場も軒並み雪不足で開場が見送られる状況が続いた。
節分を迎える2月は例年宮城蔵王一泊のスキー旅を行っていたが今回は山に向かう旅を見送り海方向で三陸沿岸地にある大船渡温泉訪ねることとした。
【大船渡への道筋① 陸前高田市迄】
仙台市内から岩手県南部沿岸地域に向かう基本的な道筋は国道R45を北上するが東北大震災後の復興道路とされる高規格の三陸道が延伸整備されており成瀬奥松島IC以北は無料区間となっている。
但し2020年2月の時点では宮城県内の小泉海岸IC~本吉津谷ICと
気仙沼市内の気仙沼中央IC~唐桑南ICが未整備で並走する下道のR45を併用することになった。
気仙沼市唐桑町から三陸道のトンネルで県境を越え岩手県陸前高田市に入り道の駅高田松原の誘導看板に従い陸前高田長部ICからR45に降りて広田湾に沿って暫く進むと気仙川を渡った先の海側に新装された道の駅の大きな施設が現れる。
【道の駅高田松原と高田松原津波復興祈念公園】
ここには道の駅の基本となる休憩や供食、物販機能の他に東北大震災に依る津波災害の伝承館が併設されている。
施設の海側は嘗て千本松原の美景の地で現在は国設高田松原津波復興祈念公園として高い防波堤が築かれており堤頂に至る階段が遠望できる。
この階段上には津波の犠牲者を追悼する献花台が設えられて文字通り祈念の場となっている。
階段を昇り詰めた堤頂に至って初めて広田湾の景色を目にすることができる。コンクリートで固められた防波堤の海側に植樹された幼木は高田松原再生の事業であろうか。
【余談: 防波堤の弊害】
高田松原津波復興祈念公園は新たに築かれた高い防波堤(防潮堤)に守られているが東北大震災の復興計画の過程では高い防潮堤の建設に少なからぬ異論が唱えられている。その理由は二つ。
第一は海岸線に立ちはだかる10m超の堤防は目視で海の様子を観察する視界が目隠しされてしまい日常生活の臨機応変な対応に支障が生ずること。
第二は防潮堤の高さを超える津波に襲われた場合は防護する筈の堤内が浸水して排水も困難となり被害が拡大すること。実際に2011年の東北大震災では過去の度重なる津波の防護策で二重の防潮堤を築いていた岩手県田老町は鉄壁の守りを超える津波に襲われている。
この様な経緯から宮城県気仙沼市で県が進める高さ13mの防潮堤建設に地域住民の異論が湧いたが県知事は耳を傾けるよりも強硬姿勢を貫いている様に見える。
【奇跡の一本松】
閑話休題。
高田松原津波復興祈念公園に達する手前の国道上から気仙川河口左岸に立つ奇跡の一本松が遠望できたがその周辺はダンプトラックが出入りする土木工事の最中で立ち入りが制限されている。
但し津波復興祈念公園の中からは専用の遊歩道が整備されており徒歩での接近が可能となっている。
松の根元にはライトアップの照明設備が設置されているが嘗て流されずに生き残った奇跡の一本松は塩害で枯れてしまい
現在はその枝振りを再現したレプリカが当時を偲ぶモニュメントとして残されている。
なお一本松の背景に見えている3層の構築物は気仙川の対岸に位置する気仙中学校の遺構である。
【大船渡への道筋② 大船渡市迄】
道の駅高田松原から先は山側に迂回する三陸道に乗らず海側のルートを辿るR45を進むと太平洋に突出する広田岬の基部に聳える箱根山(標高445m)の裾野を通過する通岡(かよおか)峠を越えて大船渡市に入る。峠から九十九折りの坂道を下っていくと車窓右手に大船渡湾の景観が現れる。
【大船渡温泉の位置】
海岸線に沿う県道を少し進むと左手に現れるオーシャンビューホテル丸森の施設前で分岐する信号機のある交差点を鋭角に右折した市道の海側丘陵地に聳える建物が現れる。これが大船渡温泉の施設で市道から僅かな距離を上った建物前が駐車場となっている。
【大船渡温泉の外観】
駐車場から海側に建つ施設を見上げると5層の鉄筋コンクリート(RC)造で
手前に張出した玄関が来訪者を迎えている。
Part.2は大船渡温泉の館内
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