岩手県

2019年10月04日

【序章】
 岩手県の県都盛岡市の北西に接する雫石町は岩手山南西麓の扇状地に展開しており古くから知られた開拓地小岩井農場の所在地でもある。
今回は小岩井農場にも程近い山麓地で上質な十割そばを提供する繁盛店の訪問記である。

【十割そばしんざんの所在地】
 盛岡市の西部で秋田県境にも接する雫石町の北部地域は岩手山の西麓域を占め北端が八幡平市との境界を成す山岳地帯に源流を発する葛根田川(かっこんだがわ)が形成した扇状地となっている。
雫石町扇状地俯瞰図Google
地勢の詳細は以前に掲載した網張温泉に譲るが北側の山地と岩手山の西麓に囲まれて南の雫石川流域に開けた傾斜地に数件のそば屋が営業していることを以前から確認していた。
その内で「十割そばしんざん」は小岩井農場の製乳工場や観光施設のまきば園にも程近い位置で営業する人気の高いそば店で5月の連休期間に機会を得て訪問した。

【しんざんの店へ】
 盛岡市の中心部から仙岩峠を越えて秋田県仙北市に向かう国道R46を西に進むと繋十文字の交差点で小岩井農場の案内がありこれに従って岩手山の山麓へ向かう県道r131に右折する。秋田新幹線が走るJR田沢湖線の鉄路を立体交差した先の県道は道なりでr219に変わり傾斜地の登り道の左右には小岩井農場の景観が広がる。
雫石町しんざん俯瞰図Googl
やがて右手に観光施設の小岩井農場まきば園が現れた先の丁字路で分岐路を左折した右手に乳業工場の施設が構えている。因みに丁字路を曲がらず直進する県道は岩手山麓高原の網張温泉に連絡している。
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  一本桜と岩手山
左折した町道には乳業工場と丘陵地に立つ小岩井農場の一本桜がありその先で右手に分岐する丁字路に折れた上り傾斜の道を進むと
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  駐車場看板
「十割そばしんざん」の看板が建つ駐車場に達する。

【店舗の外観】
 駐車場の看板の先に店舗建物が見えている。
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  店舗外観
2層構造の建物は茶系濃色の外装を纏う下層に上階白壁の対比は鮮烈な印象を感じる。更に窓サッシの白色仕様は複層ガラスを嵌める断熱構造の装備が窺え最近の建築物に見える。
 因みにデータ更新をしていない愛車のカーナビでは少し離れた位置に誘導されたがその地点には「十割そばしんざん」の店へ向かう案内看板が設置されていた。従って「十割そばしんざん」の店は近年に店舗を現在地に移転したと思われる。
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  店前の池
 店舗の南面には外光を採り入れる広い窓に加えてテント掛けのオープンテラスの設えもありその前面の庭には
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  鯉
色鮮やかな鯉が泳ぐ池が来客の目を楽しませている。
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  玄関
 玄関前に掲げられた白色暖簾には黒色に染めた十割そばしんざんの文字が鮮やかである。
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  予約表
11:00の開店時間に合わせて訪問したが暖簾を潜った店内は既に満席状態で開店前から訪問客が詰掛ける人気店と認識できる。
玄関内に置かれた予約表に人数と片仮名の名前を記入して空席の順番を待つ。
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  待合席の景色
待合客が少ない開店直後の時間帯故か店内の会計カウンター前に配置された待合席に座ることができた。
ここで品書が手渡されて事前の注文が促されるのは繁盛店が採用する時間短縮の典型的な手法である。
紺暖簾の目隠しの隙間から垣間見える厨房内には複数の女性が立ち働く姿が印象的で個人経営のそば店を越えた地域振興組合的な共同運営体の雰囲気を感じる。
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  雑誌の記事
待合席に配置された既刊の雑誌の付箋を捲るとしんざんを十割そばの店と紹介する記事が掲載されている。

【店内】
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  客席風景
 待合席から見える客室の手前は板床のテーブル席で欄間を設けた隔壁の奥は畳敷きの部屋となっている。
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  畳室
暫くして案内されたのは畳部屋奥のテーブル席で外景を採り込む南面の窓際は座卓が配置されている。視線の高低差で奥のテーブルから窓際に座る人影を意識させない視野が確保できる設えは室内から立体的な景観を提供する優れた手法と感じる。
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  欄間の組子細工
 板張り床の洋間と畳部屋の仕切り壁の下がり壁に開口する欄間は細かな模様を象った木組み細工が施されている。欄間の左右に置かれたミニかぼちゃや小鳥の装飾が愛嬌を添えている。
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  店内掲示
 テーブル上の壁面には「十割そば」とその「食材」と題する額が掲げられている。斜め方向の撮影を余儀なくされたので画面では読み難い文面を以下に転記する。
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  「十割そば」とその「食材」
 当店は、そば粉と水だけで作る「十割そば」をご提供しております。
 「つるつる」としたのど越しと、「シコシコ」とした歯ごたえ、風味と香りが強いのが特徴です。
 そばは毛細血管を強化し、脳出血や高血圧症の予防効果があるルチンなど、ミネラル類、ビタミン類、良質のたんぱく質が豊富で成人病の予防や美容に効果がある健康食品です。
短時間で茹で上げる当店の製法は、風味や香りだけでなくそばに含まれる優れた栄養素も逃しません。また、食材も当農園あるいは地元で採れたものを多く使用しております。
 安心食材で「十割そば」本物の味わいを存分にお召し上がり下さい。
              店主敬白
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と。十割そばへの並々ならぬ思い入れが感じられる

【品書】
 既に待合中に注文を通していたがテーブル上に配置されたバインダー型の品書を開いて再度品揃えを確認する。
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  セットメニュー
 初めのページはセット品が並び天ぷら単品、天丼、えび天丼、肉丼それぞれにかけそば、もりそば、ざるそばの何れかの組み合わせとなる。天ぷら、天丼、肉丼のセットはかけそば又はもりそばが\1100でざるそばを選ぶと\50が加算される分かり易い設定である。えび天丼との組み合わせは\1300(ざるそばは\1350)となる。
この価格体系から温そばのかけそばと冷そばのもりそばは同額で刻み海苔が載るざるそば価格差\50で明確に区別されている。
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  温そばと冷そば
 頁を繰ると左右に温そばと冷そばの品々が現れる。温のかけそばと冷のもりそばは共に\580で冷のざるそば\630(もりそば+\50)はセット品の頁で想像した通りの価格体系である。
少量設定のミニかけそばとミニもりそばが\400で用意されており大盛りは温冷共に\150増しとされている。
その他にきのこやとろろの食材を使う品もあるがゆばそばと冷しゆばそば(温冷共に\950)はこの店の特徴的な品揃えと思われる。
冷そばには二色もりそば\800があり予めこの品を注文していた。二色とはここまで見てきた普通のそばと韃靼(だったん)そばの2種盛りでこの店では普通のそばを更科そばと呼称しているが実物を見ると一番粉限定で純白の更科そばとは異なる印象を受けた。詳細は後の項で述べる。
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  韃靼そば等
 冷そばの裏頁は韃靼そばとサイドメニューの品が紹介され隣の頁は各種の飲料が並んでいる。
 韃靼蕎麦は一般的な蕎麦より血圧降下作用が大きいルチン成分が多く近年存在感を増している品種だが黄色を呈して苦味が多い特徴を有する。
韃靼そばの品揃えはもりそばとかけそばの\680にざるそばは\730の設定で普通のそばと\100の価格差が設けられているがここでもざるそばは¥50増しの原則が徹底されている。
 サイドメニューには共に\530のミニ天丼、ミニ肉丼にゆばの単品\320、サラダ\300、天ぷら盛り合わせ\700、えび天盛り合わせ\900等が紹介されている。

【卓上の装備】
 品書を元の位置に戻し改めて卓上の備品を確認すると
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  卓上の備品
横長のトレイに醤油差しと小瓶の塩に爪楊枝、七味の小鉢が並んでいる。

【二色もりそば】
 店内の様子を観察しているとやがて注文した二色もりそばが配膳される。
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  二色もりそば
 そばは角皿に敷かれた簀の子盛りでつゆ入りの猪口に薬味と漬物の小皿が添付され店名を記した箸袋に収まるリユース箸が付随する。
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  二種のそば
簀の子の左は更科と称する普通のそばで黄色味が強い右側が韃靼そばである。
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  小皿
 小皿の薬味は刻み葱と下し山葵に加えて赤く見えているのはかんずりのみぞれ和えかと思う。 かんずりは以前にも紹介しているが新潟県で寒の時季に路地で唐辛子を晒した産物である。かんずりの辛味を七味唐辛子と似た扱いで薬味に採用するそば店はこれ迄数店で経験しているが個人的には刺激が強く温そばであれば適合性はありそうだがもりそば系の冷たいそばでは繊細なそばの風味を霧消してしまうカレーそばと変わらぬ危険な存在と感じる。
手前は沢庵漬けの漬物皿である。
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  二色そば
 更科そばと韃靼そばの2種は見た目で色白の更科と黄色の韃靼と容易に識別できる。

【更科そば】
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  更科そば
 更科そばの白い麺を仔細に見ると蕎麦の実の外皮に由来する少なからぬ黒色のホシが鏤められている。更科そばは本来蕎麦の実の白色な中心部のみを挽いた純白な更科粉で打ったそばの呼称で黒色ホシの混入は考え難い。
このそばは大まかに外皮を除いた丸抜き製粉の一番粉のそばとするのが妥当ではないだろうか。
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  韃靼そば
黄色味を帯びた韃靼そばにもホシが見えるがその粒子は更科より遥かに細かい。
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  更科の麺
 更科そばは先端が細い塗り箸と同等の細打ち仕上げだが箸で掬い上げても千切れない柔軟な腰を備えており啜り上げた口当たりも好ましい上質な麺である。
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  山葵風味で
下し山葵を添えると仄かな甘みと爽やかな刺激が加わる。

【韃靼そば】
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  韃靼の麺
 箸に掛けた韃靼そばは更科より太目に見えるがそば生地の延し厚は更科と同程度で切断幅の寸法を2倍程にした平打ちの幅広麺である。韃靼そばは普通のそばより生地の結合力が劣るとされているので幅広の麺は強い腰を創出する技であろうか。
韃靼そばは独特の苦味を伴うが口当たりが良く食し易い仕上がりで更科そばと同様に上質と感じる。

【そばつゆ】
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  つゆ猪口
 猪口入りで供されたつゆは出汁の香りと辛味を併せ持つ江戸前風にきりっとした仕上げである。更科そばとの相性に優れており強い主張がある韃靼そばにも絡み合う存在感は大変好ましく感じた。

【そば湯】
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  そば湯桶
 そば湯は一般的な丸形の塗り桶でそば食中に運ばれる。
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  そば湯
桶の中を覗くと透明な湯の底部に白い沈殿層が見える。
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  そば湯の調製
二色のそばを食した締めは何時もと変わらぬ作法でつゆの残りにそば湯を注ぎ入れてそばつゆのスープを調製する。
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  そば湯スープ
そばに好適で存在感のあるつゆはそば湯の飲み物に仕立てても風味が良く美味であった。

【終章】
 岩手山麓小岩井農場にも程近い雫石町の山中で十割そばを商う「十割そばしんざん」は開店時間前から訪問客が引きも切らない人気店である。
十割そばながら柔軟な腰を備えた細打ち麺は口触りが心地良くこれに旨味を絡みつけるつゆの風味の絶妙な相互作用がこの店の魅力である。
初訪の店で美味いそばに出会った嬉しさは「匠庵」(宮城県刈田郡蔵王町)以来の僥倖であった。




(00:00)

2019年09月27日

【序章】
 岩手県南部の大都市である一関市は岩手県内の温泉地へ向かう道中で幾度となく通過している。仙台方向から東北道に乗らず下道幹線路の国道R4を北上すると昼頃に到達する絶好の休憩地となっている。
 R4が通過する市内中心部に至ると沿道には駐車場を備えた郊外型の飲食店が軒を連ねているがそれらの中にそば店は見当たらない。
古くからそばを提供する店は国道より一ノ関駅側の旧市街に分布しており狭い街並みに駐車場の保障が無く外来者には訪問を躊躇しがちな地域と感じていた。
従って以前は郊外西部でR342に沿う厳美渓の「まるきや」や更に西部に分け入った「山のそば屋須川」を訪問していたが最近は市街地に乗り入れて老夫婦が小さな店構えでそばを打つ「手打ちそば処こぢんまり」の独特な雰囲気を紹介した。
 今回は市街地中心部の「手打ち十割そば庵どう」に駐車場の存在を確認して訪問した。

【手打ち十割そば庵どうの位置】
 「庵どう」が店を構える大手町は一関の西側駅前地区で至近の位置に一関郵便局がある。
車で向かう分かり易いルートはR4一関バイパスを北上して磐井川を一関大橋で渡った先の十二神交差点を左折して東へ進む。


一関市庵どうの位置 Mapion
この道は一関市西部地域を辿ると厳美渓から秋田県境の須川高原へ続く国道R342の一部(この区間はR284も重複している)で上の橋で磐井川を渡った先の左手ブロック奥に一関文化センターが見える交差点は広街(ひろこうじ)南口と表示されている。
道なりに直進すると僅かな距離で一ノ関駅に達するが広街南口の一つ先で蔵ホテル一関の角にある文化センター交差点を左折して八万街通りに入る。
一関市庵どうへの道筋八万街通りを北上し一関病院の東側を抜けた先が郵便局交差点となっている。交差点の右奥が郵便局の建物でこの交差点を直進した左側二つ目のブロックが「庵どう」の在処である

【庵どうの外観】
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  庵どう店舗外観
 2層構造に切妻屋根を載せた庵どうの建物は白色の外壁で覆われている。
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  玄関
八万街通りに接する1F部分は2台程の駐車空間を確保した奥に玄関が置かれ
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  白暖簾
丈長の白い暖簾が入店を誘っている。
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  宣伝文
玄関の左手には駐車空間側へ突出した構造があり道路に面した窓に石臼挽きの手打ち十割そばを宣伝する大きな書が掲出されている。
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  打ち場
この突出部分の扉が開放されていたので中を覗くと壁に掛る麺棒や平台を備えるそば打ち場の空間となっていた。

【店内】
 暖簾を分けて入った店内は
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  カウンター席
左手に伸びる厨房に沿って8席のカウンターが並び
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  電動石臼
その奥には小型の電動石臼が鎮座している。設置状況や店頭の宣伝文からこの石臼は蕎麦粉を製粉する現役の装置と思われる。
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  小上り
右手は畳を敷いた小上りに4名と2名が着座できる座卓が各々3卓配置されて18席が確保されているが畳敷きの利点を活用すれば20数名の収容も可能と思われる。

【品書】
 空席の小上りに座り備えられたバインダー型の品書を開く。
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  品書冷そば
冒頭のページには店頭に掲出されていた書と同じ文面が配置されており右隣りには冷そばの品が紹介されている。
 主な冷そばは十割ざるそば\700、天ざる\1100、冷とろそば\1000、かもせいろ\1300等で梅じそそばやなめこおろしそばの種物も用意されている。つけめんカレーざるそばという変わりものもあるが十割そばをわざわざカレー味のつけ汁に浸して食する必要があるのか疑問を感じる。
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  品書温そばとセット品等
 頁を繰ると温そばの品が並ぶ。天ぷらそば\1100、山いもとろろそばが\1000、天とじそば\1100、かも南蛮\1300に地どり南蛮\1100等にみぞれそば、きのこみぞれそばもあるが基本的な品のかけそばは見当たらない。カレーそばは温そばにも怠りなくラインアップされている。
冷そばでは省略したが温冷共に湯葉のそばがあるのはこの店の大きな特徴である。
 その他に鍋焼きうどんやそばと丼のセットが\1100~1200で用意されており
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  一品料理
天ぷら盛り合わせに湯葉や鴨の料理、揚げ出し豆腐、厚焼き卵等の単品料理もある多彩な品揃えとなっている。

【十割そば】
 品揃えは多彩であっても注文は基本的に冷そばでその中でも蕎麦の風味を損なわない品と決めているのでカレーそばの類は端から対象外となる。更に初訪の店では極力シンプルなものと心掛けているので十割ざるそばを発注した。
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  ざるそば
 暫くして届けられたそばは高坏風に嵩上げされた竹笊盛りで徳利入りのつゆと薬味の小皿が添えられている。一般的に徳利のつゆは猪口で供されるより多めの傾向があり何よりも最後のそば湯の濃度調整に都合が良いので大変有難い。
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  薬味
 小皿の薬味は刻み葱とみぞれ(下し大根)にわさびの3種類が供される。わさびは見た目に水分が多いペースト状で少なくとも下した本山葵には見えない。そばに載せて食すると強い刺激はあるが独特の甘みは微かに感じるのみで既製の品かと思われる。
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  手打ちそば
 薄い褐色を帯びたそばは細切りで透明感があり濃色のホシが透けて見える。
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  細麺
割箸で掬い上げたそばは太さが2mmに満たない平打ち気味の細麺で口当たりは良いが細かい切れ端が残るのは腰の弱さ故であろうか。
十割そばでも手打ちでしっかり捏ねて粘り強い腰を出した生地は細く切り分けても細かな切れ端を生じないそばに仕上がる。この様な手打ち十割細打ちそばの存在は何度か紹介してきている。最近では蔵王町遠刈田温泉街にある「匠庵」が古くは山形市の「梅そば」や猪苗代町の「まるひ」等が挙げられるが庵どうのそばは残念ながらこの水準には達していないと感じる。
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  わさびを載せて
徳利で供されるつゆの量は十分にあるが辛味と甘味の均衡が不安定で細麺への絡みも薄く物足りなさが拭えない。折角の十割そばだがつゆとの相性も万全とは感じられず残念である。
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  そば湯桶
 そば湯は良く見掛ける角型の塗り桶に収められてそば食の最中に運ばれる。
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  そば湯
蓋を取って中を覗くと透明な上澄みの下に白色物を含んだ層が沈んでいる。普通の釜湯にしては沈殿物の量が多い様に見えるが前日の釜湯を翌日のそば湯とする方式であればこの程度になるのであろうか。敢えてそば湯に蕎麦粉を添加してどろどろした粘度の湯を出す店も少なからず存在するがこの店のそば湯に意図的な成分添加は感じられない。
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  そば湯の調合
そばを食べ終えつゆの残りにそば湯を注いでそばつゆスープに仕立てるのは何時もと変わらぬ手順で刻み葱の薬味を投入して風味を加える。先にも触れた通りつゆの辛味と甘味の兼ね合いに安定感を欠いているので最適な味わいとなるつゆと湯の混合に何度も試行を重ねる始末の末にそば食を終えた。

【終章】
 一関市の中心市街地でそば専門店を営む「手打ち十割そば庵どう」は石臼挽きの製粉で本格的な手打ち十割の細打ちそばを提供している。但し細打ち麺は柔軟な腰に乏しくつゆとそばの相性にも不足を感じるので改善を期待したい。
6台程の駐車場は狭い空間ながら車で訪問する遠来者には有難い備えである。




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