山屋セミナーハウス
2023年12月29日
【序章】
10月下旬に開催された大石田町の新そばまつりに続いて11月に入ると戸沢村で新そばの提供も行う旬の市や新庄市の新庄そばまつりが週毎に連続して開催された。
大石田町→戸沢村→新庄市の順で新そばを振る舞う催しの日程は以前から定着していたが2019年からの新型コロナ感染症の蔓延により途絶えていたが2023年の秋になって復活を確認し参加を検討したが日程の都合で今回は先に掲載した大石田町と新庄市の2会場限定での参加となった。
【新庄そばまつりの概要】
新庄そばまつりは2023年の開催が第14回とされており以前の掲載記事でも触れているが新そばまつりではなく敢えて「新」を省いたそばまつりの表記が採用されている。
11月12日に開催されたそばまつりの会場は例年通り新庄市東部の金沢山屋地区の山屋セミナーハウスである。この施設は旧山屋小学校の建物を再利用しており鉄筋RC2層構造の校舎棟と鉄骨平屋の体育館棟が屋根続きで連結された構造に加え建物前の南向きの広い旧校庭に多数の車両駐車が可能で大人数を集める催事会場には好適な条件が整っている。
参加費用はそば前売り券2食分の\1,000と当日券1食分\600の販売がある。前売券は市内の観光協会や農協、そばまつり事務局を担当する市農林課の窓口に加えて市内そば店の6店舗でも事前に購入できるがいずれも仙台からは遠隔地である。従って新庄市農林課へ直接メールで前売券の予約を申込むと前売券予約の葉書が送付され当日持参して事前予約が確認されることになる。
実際にメールの申し込みから3日後には予約葉書が配達された。
【新庄への道筋】
事前の天気予報で当日の日本海側は寒気が発達する荒れ模様で山間部では降雪の可能性も指摘されていた。11月半ばで冬タイヤに換装していない車で山形県へ向かう峠越えには不安を感じ最悪の場合は訪問断念も覚悟したが当日になると幸いなことに午後からの降雨は避けられないものの県境に降雪の可能性はなく訪問を決断した。
①国道R48関山峠 仙台市青葉区作並→関山トンネル→東根市
②国道R347鍋越峠 加美町小野田→鍋越トンネル→尾花沢市
③国道R47堺田峠 大崎市鳴子温泉→堺田峠→最上町
の選択肢がある中で冬期でも道路状況の安定性が期待できる①の関山ルートに決定した。
飽くまでも個人の判断ではあるが嘗て冬期閉鎖が常態であった3桁国道の鍋越峠よりもR48とR47は古くから物流幹線の機能もあり手厚い道路管理が期待できる。但し宮城県内で寒冷地の代表格である川渡と鳴子、中山平温泉を経由する③のR47は路面凍結の恐れから避けることにした。
天候に恵まれるなら11月中旬は②の尾花沢市に抜ける鍋越峠手前の山肌に拡がる見応えのある紅葉がお勧めである。
午前中は予報通りで降雨もないR48を進むと国土交通省施設前の気温は7℃と表示されており降雪はないと確信して関山トンネルを通り抜け東根市に下る。東根で北隣の村山市へ進路を変え交差する幹線道路のR13を新庄市迄北上するのが基本だが今回は村山ICから東北中央道E13に乗り
新庄鮭川ICから山屋へ
新庄ICより一つ先の新庄鮭川ICで降りて右折し東へ進むと道なりで奥羽本線を跨ぎR13との交差点を直進すると僅かな距離で山屋セミナーハウスに達する。
新庄鮭川ICから山屋へ
新庄ICより一つ先の新庄鮭川ICで降りて右折し東へ進むと道なりで奥羽本線を跨ぎR13との交差点を直進すると僅かな距離で山屋セミナーハウスに達する。
この経路での所要時間は途中尾花沢北ICに接する道の駅尾花沢でのトイレ休憩を含めて130分程であった。東北中央道は70km/h制限の部分もあるが信号なしのノンストップ走行に依り下道のR13を走るより時間短縮が可能である。
【山屋セミナーハウス】
新庄そばまつり会場の山屋セミナーハウスは既に述べた通り嘗ては小学校の建物であった。
鉄筋構造の2階建校舎棟に連なる
体育館構造の建物がそばを振舞う会場となっているが
校舎側の玄関前に受付の掲示が設けられている。
【受付と前売券の購入】
玄関内には券売所と受付があり先ず券売所で予約葉書と引換えに前売券を購入し
受付にこの券を提示すると入場順の番号を記したオレンジ色の整理券が渡される。
この整理券の番号に従って会場への入場が可能となるが下半分は市内のそばまつり協力そば店5店舗で11月30日迄有効の\200割引券となっている。又前売券の裏面にも協力そば店の記載があるがこちらは6店舗で割引券と異なっているのは何らかの事情があるのだろう。
440番台の入場迄は時間があり校舎棟内の待合室へ誘導されたが屋外の出店の探検に向かった。
【屋外の出店】
校舎棟の前には例年多数の出店が並んで賑わいを増していたが今回は僅かに5店舗のみと寂しい限りで
12:00を過ぎると閉店する店も現れた。
しかし野菜類を扱う店は活気がありか蕪や大根に山菜を売る店と
野菜と漬物に花を売る店から
大根の様に細長く葉元が紫の地蕪と
蕪の様な球形で表面は白いが内部は紫の大根等仙台では珍しい根菜を買い求めた。
新庄市を中心とする最上地方ではアントシアニン由来の紫色を纏う根菜類が多い様に感じるがこれは気候に依るものかあるいは土壌成分に起因するものなのであろうか。残念だが知識の持ち合わせがない。
【そばまつりの会場】
440番台の入場案内放送があり校舎棟から屋根続きの通路経由で
体育館棟の会場に向かう。
場内の配置は以前と変わらず右手の壁面に沿ってかけそば(温そば)ともりそば(冷そば)を受取る2列の通路が設けられている。
お渡しの掲示上部の窓外に見えるブルーシートは屋外に仮設されたそばを茹でる釜場も従来と変わらぬ配置である。
但しそばの提供口の手前のテーブルに配置された月形盆と割箸はセルフで渡し口にへ参する方式に変更されている。
折からの雨模様で気温も低く会場内には大型の暖房機が稼働していたが会場入口と釜場の開口部を吹き抜ける強風が吹き抜ける環境でもりそばよりも温かいかけそばに長い列が生じていた。
【1杯目のもりそば】
それでもそばの風味は冷そばに限ると信じて受取った1杯目のもりそばはつゆと共に使い捨てのポリ容器で供され
薬味の刻み葱とわさびに漬物夫々のプラカップを詰合わせたパックが添えられる。
月形盆以外の全ての食器が使い捨てで揃えられているのはコロナ渦後の感染予防に備えたものとは思うがプラスチック廃棄物増の加は如何なものかとの疑問も湧く。
丼型のポリ容器に収まるそばは3mm程の細さに切り揃えられしなやかな柔軟性を備えて口当たりが良く啜り込み易い細麺が好ましい。
接写でズームアップしたそばは薄い褐色を纏う色白で蕎麦の実の黒色表皮に由来するホシが僅かで丸抜き製粉に繋ぎの小麦粉を加えた二八製麺であろう。
喉越しの良い細打そばを食した後は何時もと変わらず残りのつゆにそば湯を加えてそば風味のスープを楽しみ1食目を終えた。
【2杯目のもりそば】
1杯目を食した会場内は先にも述べた通り大型の暖房機の温風を凌駕する冷風の外気が吹き抜け寒さが勝る環境であったが
そば好きの矜持で2杯目も冷たいそばの列に並びもりそばを受取り客席に戻った。
2杯目は1杯目と較べて明らかに太めの仕上で割箸の先端と同程度の5mm前後の麺に加えて
容器の中には素人の作にしか見えない更に極太麺が混在している。
この太さになるとしなやかさより麺の剛直さが勝って口当たりや喉越しの良さが失われ田舎そば風に口腔内でしっかり噛み砕いてその風味を味わうことになる。
太麺は柔軟さを欠く剛直性から終盤になると容器内はぶつ切れ太麺の溜り場に変貌してしまった。
短時間で1000食以上のそばを提供する催しではそば打ちにも多くの職人が携わる故に各々の打ち手によって仕上がりにばらつきが生じるのはやむを得ない。
しかし個人的にはしなやかな腰で口当たりに優れる細麺を好むので1杯目と2杯目が逆であればより良かったと思う。
2杯目の食後もそば湯の薬缶を調達してそばつゆのお湯割りを調整した。
1杯目では確認しなかったが薬缶の中は多量の白濁沈殿物が確認できた。これは普通の釜湯とは異なりそばの成分を意図的に添加している様に見える。
2杯目のそば湯も楽しみ満腹状態で新庄そばまつりの体験を終えた。
【終章】
新庄そばまつりは前報の大石田新そばまつりと同じく新型コロナ感染症の蔓延対策で2019年から3年間の空白を挟んだ久し振りの訪問となった。
コロナ渦後の開催は以前に比較すると規模の抑制感を禁じ得ないがこれは大石田町の催しにも共通する認識でもある。
何はともあれ大勢が一堂に会して秋の収穫を祝う催しは貴重な体験の場であると再認識する機会となった。
ん? 今回は触れていなかったかな?
新庄市を中心とする山形県北部最上地方で栽培されている主要な蕎麦の品種は「最上早生(もがみわせ)」である。
完
(00:00)
2020年07月17日
【序章】
例年秋そばの収穫期に山形県の蕎麦産地で催される新そばまつりには極力足を運ぶ様にしており大石田町の新そばまつりと新庄市のそばまつり(なぜか新庄市に限ってそばまつりに"新"を冠していない)は2014年以降欠かさず参加してきた。
2019年の新庄そばまつりは10回目という節目の開催であった。
【新庄市への経路】
宮城県仙台市から山形県北部の新庄市へ向かうルートは今まで何度となく言及しているので詳細は省くが紅葉が盛りとなる秋の行楽時季と重なるので渋滞の確率が低いR347の鍋越峠経由で県境を越え尾花沢市からR13の高規格バイパスを一気に北上して新庄市中心部に向かう経路を採ることが多い。
【そばまつりの会場へ】
新庄そばまつりは初回から一貫して旧山屋小学校の敷地建物を再利用した山屋セミナーハウスで開催されている。
R13バイパスの新庄道路は今のところ(2019年10月時点)市内の西北部で途切れており強制的に突き当たる県道r308に降ろされるのでこれに右折して道なりに東進するとR458が合流して国道に変わる。奥羽本線の鉄路を立体交差で乗り越えた先で市内を南北に縦断するR13と交わる新庄市五日町交差点に達して国道は短い区間で終了する。交差点の先は県道r312に変わるが直進を続けるとすぐ右手に現れる農協のライスセンターの敷地はそばまつりの臨時駐車場に設定されている。係員が配置された臨時駐車場からまつり会場へシャトルバスが頻繁に運行されているのでここに車を停めてマイクロバスの送迎に身を委ねる選択もある。しかし小学校跡地の会場にもグランドを活用した駐車場が設定されるので上り基調の県道を辿って会場へ直行することにした。
【山屋セミナーハウス】
臨時駐車場のライスセンターからr312を5~6分程進んだ先に設置されたそばまつり会場へ誘導する看板に従って左折し丘の上の山屋セミナーハウスに達する。
例年はセミナーハウス建物前の南向きに拡がるグランドが駐車場として開放されてきたが今回は前日の降雨に依る泥濘で閉鎖されておりハウス北側に廻り込んだ狭い空間に誘導されたたが何とか隙間を見つけて駐車することができた。
駐車場の奥には体育館の北側に臨時設営されたテント掛けの釜場が間近に見えている。テントの外に置かれたプロパンガスボンベがそばを茹で上げる湯を沸かす火力源である。
テントの内部には長靴を履いてそば茹でを担当する複数の作業者が認められた。会場にそばを届ける連絡部分は雨除けのブルーシートの屋根も設営されている。
駐車場から山屋セミナーハウス建物の正面に向かうといつもと変わらずそばまつりの幟を掲げた玄関に迎えられる。
【出店】
玄関の左右はに並ぶテントの出店も例年と変わらない光景で
地物の野菜販売は定番で
地元の焼菓子やプリン等を並べる店に
漬物と店頭で揚げる天ぷらを扱う店も例年と変わらず展開されている。
毎年好評の揚げたて天ぷらはいかげそ天にかき揚げ、げそ、ちくわ3種のパックに今回は海老天2本のパックも加わり\200で販売されており会場内に持ち込んでそばのお伴に味わう事ができる。また後に紹介するが出店で調理された天ぷらのパックは会場内に設置された販売コーナーで購入することも可能だが入場直前に出店で調達すれば揚げたてが入手できる。
【受付】
玄関から入るセミナーハウス内は通常上履きに履き替えて入場する様だがそばまつりでは床面にシートが敷き詰められて土足での出入が可能となっている。玄関内の右手には当日券をや予約済みの前売券を購入する受付が置かれ
相対する左はまつり会場入場の順番を決める整理券発行のカウンターが配置されている。
【前売券の調達】
新庄市内の協賛そば店で事前に販売される前売券の入手は困難なので従来は新庄市役所農林課へ前売券確保のメールを入れておき当日受付で清算受領していた。
しかし今回は既報の「そば処あさ沼」訪問時に前売り券の販売が開始されていたので既に入手を済ませていた。
その後自宅に開催を知らせるはがきも届いた。前年に会場内のアンケートで通知を希望して住所を記入すれば配達される仕組みとなっている。
因みに前売券は2食分で\1000、当日券の1食\600は例年と変わらぬ価格に設定されている。
前売券の裏面には市内7店舗の協賛店名が記載されており当日未使用の券はこれらの店で11月末迄の期限付きで\300の食事券として使用できる。
【整理券】
整理券カウンターで発行された番号は370番台で
玄関奥に掲示された待ち時間は僅かであった。
なお整理券は入場時に改修されることはなく裏面には翌日から使用できる市内店舗のクーポン券が印刷されているのも例年と変わらぬサービスである。
【そば打ち場】
玄関の右手の部屋は打ち台を並べたそば打ち場に充てられており多くの打ち手が作業に勤しんでいるのも例年と変わらぬ光景。
ここで打ったそばは専用のプラスティックトレーで先に見た会場裏側の釜場に運び茹でられる。
Part.2は新庄そばまつりの歴史と会場内の様子
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