かねき
2020年07月03日
【序章】
今回のそば店は2019年の秋10月に秋田県横手市から仙台の自宅に帰宅する途中の山形県新庄市で昼食に立ち寄った店である。
【新庄市のそば店】
新庄市は山形県の中でも大石田町、戸沢村、村山市、尾花沢市、最上町等と共に秋そばの収穫期には地域を挙げて新そばまつりを盛大に催す地でその様子は何度も紹介してきている。
新庄市内にはそばまつりに協賛する以下の7店が確認できる。
そば処 あさ沼
手打ち そばさぶん
一茶庵分店
生そば さらしな
茶そば 新国亭
そば処 えびす
手打ちそば 樵(きこり)
これらの店舗では未使用となったそばまつりの前売り券を割引券として利用できることを根拠に判断している。
嘗てはもう一軒「かねき」が新庄市の北部泉田地区の国道R13沿線で営業しておりそばまつりの協賛店であったし訪問経験もあったが数年前に閉店しており2019年秋の時点で店舗の建物が空き家で遺されるのみとなっている。
今回の横手方面からR13を南下する行程では「かねき」が立ち寄りに理想的な位置にあるが別の店を選択せざるを得ず市内南西部に位置する「そば処あさ沼」に向かうこととした。
【そば処あさ沼の位置】
そば処あさ沼は奥羽本線(山形新幹線)新庄駅がある中心部からは南西に逸れた処で宮城県大崎市から山形県酒田市に至り奥羽山脈を横断する現在は県道r318に降格した国道R47の旧道が戸沢村方向へ向かって西進する道筋の住宅街に位置している
【そば処あさ沼の外観】
新庄市中心部を縦断するR13を南下して現在は県道r318に降格しているR47の旧道を西に進むと
看板の手前には年季を感じる松の木が枝を広げておりその奥には大きな石灯篭を置き樹木の手入れが行き届いた庭園が見えている。
駐車場に車を停めて庭園の奥に構える店舗に向かう。
営業中の看板を掲げる玄関は地上から7段程の階段を上がった位置にありこの高さが地上より嵩上げされた店舗建物1Fの基準床面となっている。
写真の画面でも解る通り高床の下部はコンクリートで固めた土台の部分で基礎構造の隙間となる空間は物置に活用されており2層構造の建物は店舗と自宅を併用する造りに見える。
【最上地方の高床家屋】
建物の基礎となるコンクリートを高く嵩上げした上部に家屋を築く高床式の建築は山形県最上地方の新築民家に良く見る光景である。嵩上げの理由は最上川の氾濫に備える浸水対策であることは容易に想像できる。更に昭和40年代頃迄の築と思える建物には高床の構造はなく近年の建築になる程高床の度合いが増している様に見える。建築関係の法規制の知識を備えていないが高さ1.6m程のコンクリート基礎上に二層の木造建築を構え基礎部分はシャッターを備えた物置やガレージに利用されている住宅は良く見掛ける光景である。
この様な建築方式は水害に無縁である筈の山間部にも波及しており仙台市から奥羽山脈の関山トンネルを越えた国道沿道で山形盆地より遥かに標高が高い位置にある東根市の集落でも散見される。
但しこの様な高床構造は公道から家屋の玄関へ至る経路に階段の設置が必須であり高齢化が進む社会情勢に要求されるバリアフリー構造とは相反する要素を持ち合せている。
【店内の様子】
片流れの屋根を掛けた階段上には営業中の大きな看板が置かれているが暗色のサッシ戸を嵌めた玄関に
飲食店では営業の目印となる暖簾の掲出はない。
玄関の内で靴を脱いで店内に上がると
左手の和室が客席に充ていて襖や障子の間仕切りを取り払った広い空間となっている。南向きの窓側は縁側の設えに見えるがここにも畳を敷き詰めて和室との連続性を保ち11の座卓が配置されている。着席総数は40名であろうか。
南向きの縁側部分の席には窓外ベランダの手摺り越しに庭園の景観がある。刈り込まれた低木を囲む芝生には網を掛けた池に泳ぐ鯉の姿も見えている。
座敷の北側は押入れや床の間風の設えがあり
天井の高さには神棚が造りつけられている。
神棚の下にはお茶と冷水のセルフサービスが用意されている。
更にこの壁面の奥は中廊下を介して厨房やトイレを配した空間となっているので客席から厨房の様子を窺うことはできない。
Part.2はあさ沼の品書きと2種のそば
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