2021年10月01日
【4Fの客室】
通された4Fの客室は県道側の北面に大窓を配し西側にも小窓が開口する角部屋であった。
尤も鉄筋部分2F~5F各階に配置された4室は既に館内図で見た通り全てが角部屋となり得る位置にあるがエレベータに近い側の2室は東側が階段室や共用トイレに接する都合上二面に開口する窓が無く角部屋の趣きは感じ難いと思われる。
4Fでエレベーターを降りて左手に向く赤絨毯廊下の左右に4室の客室ドアが並んでいる。正面奥に見える両開きのガラス戸は非常口である。
廊下の右手手前の401室は黄色基調の意匠を纏ったドアで
更に進んだ奥の402室の青色系は部屋毎に異なる意匠が採用される珍しい設えである。
ドアを押し開けて入った部屋は襖の仕切りの奥に畳敷きの和室と窓側に広縁が見えている。
靴を脱いで上がる板張り床の踏込の右側ドアは
ユニット型のバスルームで
左手は洗浄機能を装備するトイレルームが配置されている。
左右の設備を確認して畳の部屋に入って振り向くとドアの内側は隣室の廊下側で見たものと同じ黄色であった。
改めて4F廊下の写真(8枚上)を確認すると他の部屋は全て黄色のドアで402室の廊下側のみが青色となっていた。従って部屋毎にドア色が異なるのではなく何かの都合で補修したことで色違いが生じたのであろう。
客室内は8畳の和室の窓側にカーペット敷きの広縁の設えがあり典型的な和風旅館の趣きを感じる造りとなっている。
広縁の左端には飲料を収めた冷蔵庫の上にグラス類の収納ケースと冷水ポットの用意がある。
右側に目を転じると鏡やコンセントに照明灯を一体化し給湯栓も備えるユニット洗面台が設置されているがこれも比較的新しい設備で以前は昔風の洗面水槽が置かれていたのではなかろうか。
その理由は飽くまでも今迄積み重ねた経験に基づく推測だが窓側の広縁迄水回りの配管を引き回すのは窓外の景色に旅情を誘う伝統的な構造であり最近の宿泊施設は設計段階からトイレやバスルーム等各部屋の水回りを廊下側に集中配置して施設管理を効率化し窓際迄の冗長な給排水管の敷設を避けていると思われるからである。
窓側の広縁に水道(や温水の)配管がある宿は古い設計思想で建築された施設で恐らく半世紀以上前から営業を続けているのではないだろうか。
洗面台と格子で仕切られた畳敷きの側には段差を設けた床の間風の拡張部がありテレビや腰高のクローゼットが設置されている。
32型の液晶テレビの前には保温給湯ポットが置かれ
クローゼットの下部は貴重品金庫の上に館内電話の備えがある。
クローゼット内は浴衣と丹前を収めた乱れ箱の他フェイスタオルと歯ブラシセットにバスタオルの用意がある。
窓側から入口方向を見ると左はクローゼットの隣に並び寝具を収納する押入れで右側は西向きに開口する腰高窓が配置されている。
部屋の中央に置かれた座卓上には
茶櫃や茶菓子が用意されているが
何よりも団扇立てに収まる夏模様の団扇に和風旅館の印象を強くする。
因みに団扇の用意とは別途で室内空調は完備している。
【窓外風景】
県道に面する大窓の窓外には向かい側に佐勘の花月館と飛天館が聳えている。
ガラス戸を開けて電線越しに眺める佐勘は指呼の位置にある。
更に外を覗くと温泉街を曲りくねって貫く県道の狭い道筋とこれに接する旅館の駐車場が視界に入る。この県道は路線バスの経路となっておりセンターラインも無い狭路を大型バスが行き交っている。
画面右奥で緑の山並みから頭を出しているのは仙台市内で独立峰の容姿を誇る太白山(たいはくさん)で仙台市が政令指定都市として区政に移行する際に太白区命名の根拠となった存在である。
Part.3は佐藤屋旅館の温泉
(00:00)