2020年08月07日

【序章】
 山形県では秋そばの収穫を迎える10月中旬から11月になると各地で収穫祭として新そばまつりが盛大に催される様子を幾度となく紹介してきた。
2011年3月11日に発生した東北大震災から取り敢えず日常生活を得た浴年からこの時季には例年2~4箇所の会場を訪問してきたが2019年の秋は諸般の事情から10月最終の土、日曜二日間に亘って開催される北村山郡大石田町の新そばまつりと本記事の直前に掲載した新庄市そばまつりの二会場を訪れるに留まった。
 今回は2019年大石田町新そばまつりの訪問記である。尚新庄の記事を先に掲載したが開催日は大石田の方が先行している。

【大石田町の位置】
 大石田町については以前から幾度も紹介してきたので詳細は次項で触れる過去の記事に譲るが町界の南側は村山市が接し西は舟形町、東と北は尾花沢市に囲まれた山間地で北から南に流れ下る最上川が町域を東西に分けている。
最上川は北上川と並び称される東北地方の大河で山形県南端の米沢市吾妻連山の源流から北に下り南陽市、長井市、白鷹町、朝日町、寒河江市を経由する複雑な流路を辿り村山市から大石田町を縦断して舟形町から大蔵村、戸沢村に下り酒田市で日本海に注いでいる。従って山間の小さな町でありながら舟運の便に恵まれ古くから周辺地域の農産物を日本海周りの物流廻船に送り込む中継地であったことが容易に想像できる。現在の物流はトラックに依る陸上輸送が圧倒的だが近世迄は自然の地形を生かした水運が広域物流の主流であったと歴史が教えている。
今年になって7月末に東北地方を襲った豪雨に依り最上川中流域の大石田町内で浸水被害が発生したと報じられている。

【大石田町のそばに関する過去の記事】
 大石田町のそばに関して過去にyaplogサイトに掲載した記事は既に閉鎖されてしまったがこちらの「芋男爵のブログアーカイブ」で再構築している。降雪の中で町内を彷徨った蕎麦処若佐や新そばまつりの訪問記(2017年21回2016年20回2015年19回2014年18回)の参照にご利用戴ければ幸いである。

【新そばまつり会場】
 2019年の新そばまつりの会場は例年と変わらず町役場と道路を隔てた向い側のクロスカルチャープラザ「桂桜会館」で開催される。

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  大石田町役場
役場構内のあらゆる平地空間は訪問客を迎える駐車場に開放されており道路を渡って会場に向かう経路には多数の誘導員が配置されている。
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  会場屋外の仮設テント
道路を渡る前に役場側から見える桂桜会館の会場裏には大きな仮設テントが張出している。
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  仮設テント
この大型テントは大石田町新そばまつりの文字が浮かぶまつり専用の仕様となっている。
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  テントの内部
テントの隙間に廻り込んで内部を覗くと会場建物の外部空間に釜場が設置され多数の人員がそば茹で作業に勤しむ姿が見える。
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  釜場と会場の連絡口
更にカメラの角度を変えるとそばやつゆを提供する会場内の一部も窺える。

【受付】
 会場入口がある表側に戻ると建物手前の舗装された駐車場に
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  受付
小振りのテントを張った受付があるのはいつもと変わらぬ配置である。因みに数年前までこの場所は未舗装であった記憶がある。
受付では当日券も販売されているが予め前売券の予約を手配していたので受付では予約の旨と氏名を告げて前売り券を購入する。
 前回までは前売券を予約すると予約確認のはがきが送付されこれを受付に提示する方式であったが今回このはがき送付が省略されたのは経費削減の一環であろう。

【前売券と整理券】
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  7520t前売券と整理券
 前売券は1枚\1200で入場券とそば引換券2枚が含まれている。2枚のそば引換券の裏面は\400の割引券の印刷があり未使用で持ち帰った場合は11月末の期限付きで大石田そば街道加盟の町内14店舗で利用できる便宜も図られている。
前売券を受け取った直後に受付の左隣りで入場順の一連番号が印刷された整理券が発行される。事前に前売券を入手していれば整理券を受け取るだけで受け付けは完了する。
 整理券は9:30から発行されるが受付を済ませた10:30頃には740番台となっていた。今回は確認していないが以前の経験では1日に1600番程もあったと記憶している。因みに先に紹介した新庄そばまつりでは最大でも800番前後であった。従って二日間開催される大石田新そばまつりは延人員で3000人程度の集客能力があり6000食程のそばが消費される規模の大きさを窺い知ることができる。

【会場前屋外の出店】
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  会場入口
 新そばまつりは11:00開始となっているので10:30頃の入口は人気が疎らで閑散としていたが
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  会場前の出店
会場前の屋外に並ぶテント掛けの出店には700名を下らぬ開場を待つ訪問者で賑わっていた。
大石田では例年どの新そばまつりより多くの多彩な出店が設営されている。
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  おこわと山菜汁の店
会場建物の玄関脇はおこわと山菜汁、玉こんにゃくに天ぷらセットを揃える店で
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  衣類の販売
その隣にオリジナルポロシャツや
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  漬物店
漬物を売る店に
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  手作り小物
手作り小物の展示販売等が並ぶ。
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  野菜販売
更に地元産の野菜を売る店があり
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  米の販売
大石田産のつや姫新米を扱う店では白米の2kgと5kg袋に加えて30kgの玄米も販売されている。
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  待合所側の出店
これらの出店と道路を挟んだ向い側の駐車場には例年と変わらずパイプ椅子を並べたテント張りの待合所が設置されておりその道路側は出店が配置されている。画面手前で牛タン焼を提供する店は初めて見たがその先の砂金採り体験の幟は大石田町との姉妹都市宮城県涌谷町の企画で次に控える緑の幟を掲げる地元産の自然薯販売と共に恒例の出店。
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  そば打ち道具
 会場側に戻り役場に近い位置に並ぶそば打ち道具を取り揃える店と大石田ぎりばっと部の看板を掲げてはっと汁(=すいとん)を売る店も恒例の出店である。
そば打ち道具は漆塗りの捏ね鉢やそば打ち台、延し棒、、駒板、そば切り包丁等普段あまり見掛けない道具が販売され新そばまつりの雰囲気醸成にも一役買っている。
にぎりばっと汁の店頭には何故か西瓜の被り物が用意され訪れる子供達の記念撮影用に提供されている。隣町の尾花沢市は東北地方の西瓜の名産地となっているので大石田町内での栽培も行われているのであろうか。
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  果物の販売
隣は果物を揃える店でシャインマスカットや庄内柿、ミカン、ラフランスに梨、りんご等が販売されている。

Part.2は出店の続きと会場内



(00:00)

2020年07月31日

【もりそば1杯目】
 供されたそばの盆とカメラを両手に携えて会場内の空席に落ち着く。
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  会場の舞台
 会場奥の舞台上では以前から最上早生種のそばを喧伝するそば音頭に合わせてモンペ姿のそばガールズの踊りが披露されるなどアトラクションが用意されており第8回の2017年にはアトラクションを屋外に駐車したウィング開閉式のコンテナトラックの荷台に移し舞台上には畳敷きの小上り席を設営する試みもあった。
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  功労者表彰
しかし今回の第10回はアトラクションの告知が見当らず娯楽的な要素を廃してそばガールズが立会いまつりに関係する功労者を市長が表彰する式典が執り行われており例年とは異なる様子を感じた。
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  薬味とそば湯
 着席した客席のテーブル上の随所にそば食に不可欠な刻み葱と七味小瓶の薬味に薬缶入りのそば湯が配置されている。
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  もりそば
塗り物皿に盛られたそばは最上地方の主力品種である新庄産の最上早生種で
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  もりそば
色白な中細麺の表面には
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  ホシ
蕎麦の実の黒い表皮に起因する多数のホシが鏤められており丸抜き製粉の二八そばに見える。
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  中細麺
割箸で掬い上げた麺は見た目に違わず3mm程の細打ちで滑らかな口当たりが心地良い。
そばに風味を加えるつゆは特筆する主張は感じないがそばとの均衡を備えた無難な存在である。
 一度に多数のそばを供する嘗ての新そばまつりではつゆの仕上がりに疑問を感じたこともあったが最近は各地で開催される新そばまつりでもつゆの品質に怠りがない印象を受ける。
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  天ぷら
そばを食しながら出店で調達した揚げたて天ぷらも併せて楽しんだ。
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  そば湯
 一食目を終えて残ったつゆにそば湯を注ぎ
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  そばつゆのスープ
そばの風味が残るつゆをスープに仕立てるのはいつもと変わらぬそば食の嗜みである。

【もりそば2杯目】
 一杯目の食器を返却口に戻した後に二食目のカウンターで2杯目のもりそばを受け取り席に戻る。
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  2杯目のもりそば
二食目のもりそばは一食目と全く同じ構成で割箸も新品が添付されている。従って同一の客が新品の割箸を2本使い捨てることになるがこれは如何なものかと思う。例えば大石田町の新そばまつりで採用している様に客席の卓上に備えておけば1膳の割箸を2食で共通使用し易いのではないだろうか。
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  もりそば2杯目
2食目に受け取ったそばも見た目は一食目と変わらず
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  中細麺
白味が強く多数のホシが鏤められた透明感のある中細麺で食感も好ましい。
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  そば湯2杯目
二食目の完食後もそば湯を調製してそばつゆのスープを味わって最上早生新そばの賞味を終えた。

【終章】
 新庄市は山形県北部最上地方の中核を成し山形新幹線が達する一大都市である。最上地方の代表品種である「最上早生」種の新そばを振舞う催しは僅か10年と歴史は浅いが祭り当日には市長自らそば打ちを披露し農作業の衣装を纏うそばガールズの結成に加えてまつりのテーマ曲としてそば音頭を普及させる等そば食文化の浸透に力を入れている様子が感じられる。




(00:00)

2020年07月24日

【新庄そばまつりの歴史】
 玄関から左手に奥に位置する会場の体育館へ進む館内廊下の壁面にはそばまつりを告知する歴代のポスター掲示があった。これは今回初めて見るもので10回目に至った足跡を辿る貴重な資料である。
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  初陣と第二回のポスター
初陣の文字が躍る初回の開催日は12月5日(日)とあるのみで年の記載はないが日付と曜日からカレンダーを辿ると2010年(平成22年)に該当し新庄そばまつりの起源が明らかとなる。
会場については小さな文字で旧山屋小学校とのみ記載されている。左隣りの第二回を見ると山屋セミナーハウス(旧山屋小学校)と変更されているので山屋セミナーハウスの運営開始は2010年12月から2011年11月の間であったと推察できる。
更に初回は12月初めの開催であったが二回目以降は期日が11月初旬に改められて第十回に至る迄継続されている。
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  第三回と第4回
第三回のポスターには姉様被りの和装で踊る女性のイラストが描かれおり第4回に至って初めて2013年11月3日と開催年の表示が始まり前年の第三回から第4回へと数字表記が変更されると共にモンペ姿のそばガールズの写真が登場している。手元の記録に依ると第4回の2013年は新庄そばまつりの存在を知って初めて参加した年でそれ以前の訪問経験はないが新庄そばガールズの発祥はこの回と思われる。
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  第5回と第6回
第5回以降は初回から続いた黒地基調のポスターが白地の明るいデザインに変わりそばガールズの写真も不可欠な要素として掲載され続けている。
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  第7回と第8回
2016年の第7回には料金の改定が行われた。即ち初回以降第6回迄は2食分の前売券が\900、1食分の当日券は¥500に設定されていたが第7回以降は前売券\1000、当日券\600に変更されている。
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  第9回と第10回
第9回と第10回のポスターに大きな変化は認めないが開催日が11月の第一日曜日から第二日曜日に移る細かい変更がある。
また歴代のポスターの比較作業で気付いたのだが最近のポスターに定着している「新庄はなかなかそばである 新庄はかなりそばである 新庄のそばはうまい」のキャッチコピーは第4回以降のもので初回は大きな文字で「新庄は、かなりそばである。」とある。第二回は左下に控えめな文字で「新庄はかなり"そば"ですよ。」と遠慮気味な表記で第三回にはトップに「新庄のそばはうまい!」と言い切る大胆な書き込に変わっている。第4回以降継続して採用されている先の文言は初回から第三回迄の試行的な経過を踏まえて確立したものと見受けられる。

【まつり会場】
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  会場入口
 入場直前に屋外の出店で購入したえび天のパックを携えて会場に向かい整理券番号を提示して入場する。
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  会場の内部
高屋根に吊り下げ式のバスケットゴールと舞台を備えた旧小学校の体育館の床面は板貼り仕様と思われるが全面にシートが敷かれて土足の出入が可能となっている。
長テーブルにパイプ椅子を配した客席は例年通りの光景で
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  そばの渡し口
 入場すると右側の壁面に設置された1杯目のそばを受け取るカウンターの行列に誘導される。この位置は駐車時に見た会場建物外部に仮設されたテント掛けの釜場に直結しており茹でたてのそばを受け渡しカウンターに迅速に供給できる効率的な配置となっている。
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  実演コーナー
会場内反対側の左手には例年通りそば打ちの実演コーナーが設けられており
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  市長のそば打ち
新庄市長自らがそば打ちを披露する姿は最近恒例となっている。
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  天ぷら販売
また会場内には先に紹介した通り出店で揚げた天ぷらパックを持ち込んだ販売コーナーも設置されて会場内の需要に応じている。
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  冷そばと温そば
 一般的な新そばまつりでは冷たいもりそばに限定されていることが多いが新庄のそばまつりでは初回から一貫して冷もりそばと温けそばの2種が提供されている。従ってそばの受領カウンターに並ぶ列は右が温かけそば左は冷もりそばと分離されており希望の列で順番を待つ方式となってる。
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  冷たいそば
 冷そばの列で受け取ったもりそばはつゆ猪口に漬物トレーと割箸を添えた半月型の盆で供される。
このショットは左手で盆を受け取る瞬間を右手のみの不安定なカメラ保持での撮影となったので焦点深度が浅い手前部分のそばの輪郭は不明瞭だが臨場感が伝われば幸いである。

Part.3は二杯のもりそば



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2020年07月17日

【序章】
 例年秋そばの収穫期に山形県の蕎麦産地で催される新そばまつりには極力足を運ぶ様にしており大石田町の新そばまつりと新庄市のそばまつり(なぜか新庄市に限ってそばまつりに"新"を冠していない)は2014年以降欠かさず参加してきた。
 2019年の新庄そばまつりは10回目という節目の開催であった。

【新庄市への経路】
 宮城県仙台市から山形県北部の新庄市へ向かうルートは今まで何度となく言及しているので詳細は省くが紅葉が盛りとなる秋の行楽時季と重なるので渋滞の確率が低いR347の鍋越峠経由で県境を越え尾花沢市からR13の高規格バイパスを一気に北上して新庄市中心部に向かう経路を採ることが多い。

【そばまつりの会場へ】
 新庄そばまつりは初回から一貫して旧山屋小学校の敷地建物を再利用した山屋セミナーハウスで開催されている。
新庄そばまつり会場への経路
R13バイパスの新庄道路は今のところ(2019年10月時点)市内の西北部で途切れており強制的に突き当たる県道r308に降ろされるのでこれに右折して道なりに東進するとR458が合流して国道に変わる。奥羽本線の鉄路を立体交差で乗り越えた先で市内を南北に縦断するR13と交わる新庄市五日町交差点に達して国道は短い区間で終了する。交差点の先は県道r312に変わるが直進を続けるとすぐ右手に現れる農協のライスセンターの敷地はそばまつりの臨時駐車場に設定されている。係員が配置された臨時駐車場からまつり会場へシャトルバスが頻繁に運行されているのでここに車を停めてマイクロバスの送迎に身を委ねる選択もある。しかし小学校跡地の会場にもグランドを活用した駐車場が設定されるので上り基調の県道を辿って会場へ直行することにした。

【山屋セミナーハウス】
 臨時駐車場のライスセンターからr312を5~6分程進んだ先に設置されたそばまつり会場へ誘導する看板に従って左折し丘の上の山屋セミナーハウスに達する。
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  北側の駐車場
例年はセミナーハウス建物前の南向きに拡がるグランドが駐車場として開放されてきたが今回は前日の降雨に依る泥濘で閉鎖されておりハウス北側に廻り込んだ狭い空間に誘導されたたが何とか隙間を見つけて駐車することができた。
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  テント設営の釜場
駐車場の奥には体育館の北側に臨時設営されたテント掛けの釜場が間近に見えている。テントの外に置かれたプロパンガスボンベがそばを茹で上げる湯を沸かす火力源である。
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  釜場
テントの内部には長靴を履いてそば茹でを担当する複数の作業者が認められた。会場にそばを届ける連絡部分は雨除けのブルーシートの屋根も設営されている。
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  玄関
駐車場から山屋セミナーハウス建物の正面に向かうといつもと変わらずそばまつりの幟を掲げた玄関に迎えられる。

【出店】
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  出店
 玄関の左右はに並ぶテントの出店も例年と変わらない光景で
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  野菜の販売
地物の野菜販売は定番で
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  焼菓子
地元の焼菓子やプリン等を並べる店に
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  漬物と天ぷら
漬物と店頭で揚げる天ぷらを扱う店も例年と変わらず展開されている。
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  天ぷらの種類
毎年好評の揚げたて天ぷらはいかげそ天にかき揚げ、げそ、ちくわ3種のパックに今回は海老天2本のパックも加わり\200で販売されており会場内に持ち込んでそばのお伴に味わう事ができる。また後に紹介するが出店で調理された天ぷらのパックは会場内に設置された販売コーナーで購入することも可能だが入場直前に出店で調達すれば揚げたてが入手できる。

【受付】
 玄関から入るセミナーハウス内は通常上履きに履き替えて入場する様だがそばまつりでは床面にシートが敷き詰められて土足での出入が可能となっている。玄関内の右手には当日券をや予約済みの前売券を購入する受付が置かれ
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  整理券の発行
相対する左はまつり会場入場の順番を決める整理券発行のカウンターが配置されている。

【前売券の調達】
 新庄市内の協賛そば店で事前に販売される前売券の入手は困難なので従来は新庄市役所農林課へ前売券確保のメールを入れておき当日受付で清算受領していた。
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  前売券
しかし今回は既報の「そば処あさ沼」訪問時に前売り券の販売が開始されていたので既に入手を済ませていた。
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  そばまつり開催のはがき
その後自宅に開催を知らせるはがきも届いた。前年に会場内のアンケートで通知を希望して住所を記入すれば配達される仕組みとなっている。
因みに前売券は2食分で\1000、当日券の1食\600は例年と変わらぬ価格に設定されている。
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  前売券裏面
前売券の裏面には市内7店舗の協賛店名が記載されており当日未使用の券はこれらの店で11月末迄の期限付きで\300の食事券として使用できる。

【整理券】

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  整理券
 整理券カウンターで発行された番号は370番台で
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  待ち時間表示
玄関奥に掲示された待ち時間は僅かであった。
なお整理券は入場時に改修されることはなく裏面には翌日から使用できる市内店舗のクーポン券が印刷されているのも例年と変わらぬサービスである。

【そば打ち場】
 玄関の右手の部屋は打ち台を並べたそば打ち場に充てられており多くの打ち手が作業に勤しんでいるのも例年と変わらぬ光景。
ここで打ったそばは専用のプラスティックトレーで先に見た会場裏側の釜場に運び茹でられる。

Part.2は新庄そばまつりの歴史と会場内の様子



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2020年07月10日

【品書】
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  卓上の装備
 各座卓には割箸立てと爪楊枝、七味の小瓶を載せたトレーの配置があり品書が添えられている。
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  品書
B4版サイズのカードケースに収められた品書は表裏両面がありそばの写真を配した面はそばと一品料理、飲み物の3部構成となっている。
 そばの項ではせいろ(板そば)、太打ち田舎そば、合い盛りそばの3品がいずれも\800でトップに並んでいる。従ってこの店ではせいろと太打ち田舎の2種のそばが提供されており合い盛りは両者を同時に味わえる品と理解が容易な構成となっている。写真の掲載もある合い盛りそばは一枚の板に盛られた白黒2種のそばの対比が分かり易い。
せいろそばに天ぷらを添えたげそ天そば\950、天せいろそば\1350に加えてせいろ料理付き\1300が板そば系のつけそばでかけそば系の冷したぬきそば\850、冷たい肉そば¥850は丼入だが冷たいそばに分類される品となる。
 そばの項の後半は温かいそばで基本のかけそば\650で温かい肉そばと山菜そばの\850に天ぷらそばとにしんそば\1050がある。
かいもち(そばがき)\950はそばの本拠地ならではの品揃えと感じる。
 一品料理の項にはげそ天\250、あなご天\300、にしん\400、天ぷら盛り合わせ\650等が並ぶ。げそ天やにしんの甘露煮は山形県のそば店に欠かせない一品である。
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  品書裏面
 品書裏面はおみやげ項目があり生そば(つゆ付)、乾麺、そばつゆ、そば茶の他に自家製なんばんみそとゆず胡椒の販売も紹介されている。

【合い盛りそば】
 品書に目を通した結果迷うことなく合い盛りそばを注文した。
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  合い盛りそば
暫くして運ばれたそばは品書の写真にあった通り1枚の板に2種のそばが盛られており徳利入りのつゆ漬物の角皿と薬味の小皿、小鉢の料理の4点セットで供される。
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  漬物と薬味
漬物は季節に依って変わる様だが大根と茄子が材料で薬味は刻み葱と下し山葵の標準的な2種。
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  薬味と小鉢
小鉢の料理は寒天寄せの様な固まりでつるんとした食感に加わる甘味は杏仁豆腐に近いが蕎麦プリンであろうか。
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  二色のそば
 合い盛りのそばは黒と白の鮮やかな色彩の対比に目を引かれる。
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  せいろそば
せいろの白いそばは透明感があり黒や茶色の細かなホシを含んだ上質な仕上げが見て取れる。
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  細打ちのせいろそば
麺の太さは割箸の先端部と比較すれば解る通り2mm程の細打ち仕様で口当たりの良さを感じる。
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  太打ち田舎そば
一方田舎そばは見た目が黒い表面に水分を多く含む透明な部分がと黒いホシの存在が確認できる。
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  太打ち
黒い麺を箸で掬うと5mm程もある剛直な太麺で口腔で噛み砕きながら戴く。
 一般的に細打ちのそばは喉越しを楽しみ太打ちでは良く噛んで風味を味わうものと言われているがこの合い盛りそばでは両者の食べ較べが経験できる。
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  山葵の風味で
細打ちのせいろでは山葵の風味も楽しみながら
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  完食
最後に残った太打ちそばを戴いて合い盛りそばを完食した。

【あさ沼の玄蕎麦】
 会計時の短時間で店員と交わした会話からあさ沼では県内大蔵村肘折高原産の玄蕎麦を自家製粉しているとの情報を得た。細打ちせいろと太打ち田舎そば共に二八配合の手打ちそばとか。
白みが強いせいろそばは丸抜きの上番粉を製麺していると思われる。一方の太打ち田舎そばは玄蕎麦の挽きぐるみ(蕎麦の実の黒い表皮ごと砕いて製粉する)であろうが強い黒色は色彩的に鮮烈な印象を受ける。

【そば湯】
 そば食中に運ばれたそば湯は
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  そば湯の容器
多くの店に広く普及している塗り桶とは異なり把手を付けた広口徳利型の独特な陶製容器に収められている。
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  そば湯を注ぐ
何時もの通り猪口に残ったつゆに薬味葱を加えてそば湯で割り
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  そば湯のスープ
そば食を締め括るスープに仕立てて余韻を楽しんだ。

【終章】
 あさ沼の店舗は新庄市内の住宅地にあって住居を兼ねた大きな和風建築に手入れが行き届いた和風庭園を備え落ち着いた空間を提供している。
 近隣の肘折産玄蕎麦を自家製粉し手打ちのそばを提供する職人技は確かで趣の異なる細打ちせいろと太打ち田舎そばの2種を味わうことができる。
新庄を訪問する機会があるなら一度の経験をお勧めしたい店である。



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2020年07月03日

【序章】
 今回のそば店は2019年の秋10月に秋田県横手市から仙台の自宅に帰宅する途中の山形県新庄市で昼食に立ち寄った店である。

【新庄市のそば店】
 新庄市は山形県の中でも大石田町、戸沢村、村山市、尾花沢市、最上町等と共に秋そばの収穫期には地域を挙げて新そばまつりを盛大に催す地でその様子は何度も紹介してきている。
 新庄市内にはそばまつりに協賛する以下の7店が確認できる。
  そば処 あさ沼
  手打ち そばさぶん
  一茶庵分店
  生そば さらしな
  茶そば 新国亭
  そば処 えびす
  手打ちそば 樵(きこり)
これらの店舗では未使用となったそばまつりの前売り券を割引券として利用できることを根拠に判断している。
嘗てはもう一軒「かねき」が新庄市の北部泉田地区の国道R13沿線で営業しておりそばまつりの協賛店であったし訪問経験もあったが数年前に閉店しており2019年秋の時点で店舗の建物が空き家で遺されるのみとなっている。
 今回の横手方面からR13を南下する行程では「かねき」が立ち寄りに理想的な位置にあるが別の店を選択せざるを得ず市内南西部に位置する「そば処あさ沼」に向かうこととした。

【そば処あさ沼の位置】
 そば処あさ沼は奥羽本線(山形新幹線)新庄駅がある中心部からは南西に逸れた処で宮城県大崎市から山形県酒田市に至り奥羽山脈を横断する現在は県道r318に降格した国道R47の旧道が戸沢村方向へ向かって西進する道筋の住宅街に位置している
そば処あさ沼周辺図byGoogle

但し最近は戸沢村方向に延伸する高規格なバイパス道の整備が進み道路標識は新道のR47への誘導が優先されているので旧道を辿るには進路の見極めに注意が必要である。ナビの設定があれば到達は容易い。

【そば処あさ沼の外観】
 新庄市中心部を縦断するR13を南下して現在は県道r318に降格しているR47の旧道を西に進むと
あさ沼の位置by地理院

右手に目立つ白地に手打ちそばあさ沼と記したの内照看板と電光掲示が駐車場の入口となっている。
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  看板と駐車場
看板の手前には年季を感じる松の木が枝を広げておりその奥には大きな石灯篭を置き樹木の手入れが行き届いた庭園が見えている。
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  店舗外観
駐車場に車を停めて庭園の奥に構える店舗に向かう。
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  店舗建物の構造
営業中の看板を掲げる玄関は地上から7段程の階段を上がった位置にありこの高さが地上より嵩上げされた店舗建物1Fの基準床面となっている。
写真の画面でも解る通り高床の下部はコンクリートで固めた土台の部分で基礎構造の隙間となる空間は物置に活用されており2層構造の建物は店舗と自宅を併用する造りに見える。

【最上地方の高床家屋】
 建物の基礎となるコンクリートを高く嵩上げした上部に家屋を築く高床式の建築は山形県最上地方の新築民家に良く見る光景である。嵩上げの理由は最上川の氾濫に備える浸水対策であることは容易に想像できる。更に昭和40年代頃迄の築と思える建物には高床の構造はなく近年の建築になる程高床の度合いが増している様に見える。建築関係の法規制の知識を備えていないが高さ1.6m程のコンクリート基礎上に二層の木造建築を構え基礎部分はシャッターを備えた物置やガレージに利用されている住宅は良く見掛ける光景である。
この様な建築方式は水害に無縁である筈の山間部にも波及しており仙台市から奥羽山脈の関山トンネルを越えた国道沿道で山形盆地より遥かに標高が高い位置にある東根市の集落でも散見される。
 但しこの様な高床構造は公道から家屋の玄関へ至る経路に階段の設置が必須であり高齢化が進む社会情勢に要求されるバリアフリー構造とは相反する要素を持ち合せている。

【店内の様子】
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  店の入り口
 片流れの屋根を掛けた階段上には営業中の大きな看板が置かれているが暗色のサッシ戸を嵌めた玄関に
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  玄関
飲食店では営業の目印となる暖簾の掲出はない。
 玄関の内で靴を脱いで店内に上がると
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  客席
左手の和室が客席に充ていて襖や障子の間仕切りを取り払った広い空間となっている。南向きの窓側は縁側の設えに見えるがここにも畳を敷き詰めて和室との連続性を保ち11の座卓が配置されている。着席総数は40名であろうか。
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  縁側からの庭園
南向きの縁側部分の席には窓外ベランダの手摺り越しに庭園の景観がある。刈り込まれた低木を囲む芝生には網を掛けた池に泳ぐ鯉の姿も見えている。
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  客席の北側
座敷の北側は押入れや床の間風の設えがあり
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  神棚
天井の高さには神棚が造りつけられている。
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  お茶と冷水
神棚の下にはお茶と冷水のセルフサービスが用意されている。
更にこの壁面の奥は中廊下を介して厨房やトイレを配した空間となっているので客席から厨房の様子を窺うことはできない。

Part.2はあさ沼の品書きと2種のそば



(00:00)

2020年06月26日

【手打ち藪そば】
 品書の探索を一通り終えて手打ち藪そばの天ざるそば¥1050を注文した。品書にざるそばともりそばの区別がない事に気付いたので刻み海苔の有無を問うと海苔付きと確認できたので海苔無しの提供をお願いした。
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  手打ち藪の天ざるそば
暫くして運ばれた海苔無しの天ざるそばは簀の子を敷いた皿盛りで
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  薬味
刻み葱と練りわさびの薬味を収めた竹製容器に
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  つゆ徳利
そばつゆの徳利と猪口が付く。
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  天ぷら皿
別の角皿に盛られた天ぷらは南瓜、茄子、ピーマンと大葉(青紫蘇)の夏野菜4種に海老が加わる5品となっている。
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  手打ち藪そば
手打ち藪そばを称するそばは白身が強い中細麺に見える。
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  藪そば
仔細に観察すると透明感に乏しい表面に疎らに散りばめられた薄茶色のホシを認め。これらの外見から判断すると丸抜きの蕎麦粉に繋ぎ粉を加えた二八系のそばではなかろうか。
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  中細麺
割箸に掬い上げた麺は標準的な3mm程の太さに切り揃えられている。
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  手打ちそば
 今までの経験ではそば切りの工程が手作業なら切り幅に多少のばらつきや不規則な切れ端の混入も高い確率で認められる筈だが手打ち藪そばの太さはは極めて均質で機械切断の可能性が脳裏に浮かぶ。
実際に食すると中細の割には麺の腰が弱く茹で過ぎが疑われる。手打で捏ねてしっかり打った生そばを20~30秒程茹でたならもう少し強い腰を感じて然るべきかと思う。
つゆは甘めに仕上げられているが中細麺に適度絡む相性は良い。
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  わさびで
腰が弱い故か食感が物足りなく早々に練りわさびの風味を添えることになった。
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  麺の切れ端
大方のそばを食べ終えた後に残った短い切れ端は均一な太さを保ったまま千切れており腰の弱さの傍証かと思われる。

【天ぷら】
 薄衣の天ぷらは焦げ目もなくさくっとした食感が上質で塩味で賞味したかったが卓上に塩の用意はない。
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  天ぷら
従ってそばつゆが唯一の味付け手段となるのだが天つゆ用の器もないのでつゆ猪口を共用する羽目に陥る。つゆ猪口に天ぷらを浸すと天ぷらの油が猪口に溜るのでそこに冷たいそばを浸せば油の被膜を纏ったそばを食する以外の選択肢がない。
この様な事態を避ける為に気の利いた店ではつゆ猪口に加えて広口の天ぷら専用つゆ皿を添えており更に高度なサービスになるとそばつゆとは濃度を変えた天ぷら専用の薄めのつゆが専用皿で供されることもある。この様なサービス水準を誇る大概の店では岩塩や抹茶塩、柑橘塩などの塩味手段も欠かさず提供されている。
天ぷらが上質である故に食し方にも幾つかの選択肢が欲しいところだが今回は止むを得ず味付け無しで戴くことになった。

【そば湯】
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  そば湯桶
 そば湯はあちこちの店で良く見掛ける円筒型の湯桶に収めて供される。
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  そば湯
蓋を外して中を覗くと桶の底が見える程の透明な湯が張られている。ごく普通の釜湯であろう。
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  そば湯を注ぐ
残ったつゆにこの湯を注いでそばつゆを割りスープに仕立てるのはそば食の嗜みである。因みに先程紹介した麺の切れ端も加えてルチン成分の増加を図った。切れ端といえども残さずに戴くのはそば食の礼儀であろう。
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  そば湯スープ
そば食中には使わなかった刻み葱の風味も加えてそば湯を味わいそば食を終えた。

【さかち庵の代表者】
 さかち庵は外観で見た通り二階建ての母屋から東側に増築した平屋部分が店舗に充てられている。
店は男女で運営されており母屋に居住する夫婦が担い手と容易に想像できるが厨房内で立ち働く気配を感じる男性は客席からの声掛けには全く応じずご婦人らしい年配の女性が専ら接客を担当している。
先に述べたざるそばの海苔の有無や食後の清算で厨房に声を掛けても女性が現れるまで全く応答がなく厨房内からは女性を呼んでいる男性の声が漏れ聞こえていた。
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  店の名刺
既に紹介した会計時の会話で北海道産蕎麦を使用と聞いたのは女性からで会計レジ脇に用意されていた店の名刺は女性の代表者名が記されている。確か店内に掲出されていた衛生管理者も同じ女性名義となっていたので店主はこの人物なのであろうか。但し厨房の気配から伝わる雰囲気からそばを打つ主役は接客を極度に避けている男性ではないだろうかと思う。

【終章】
 平泉とはいえ中心部の観光地からは距離がある農村風景の集落で自宅続きに構える店舗は年配夫婦が営むちょっと変わった接客方式が気になるそば店であった。
 手打そばの品質には疑念が残るが天ぷらは上質と感じた。次に訪問する機会に恵まれれば今回は経験しなかった更科そばと手打ち藪そばの食べ較べを試みたいと思う。




(00:00)

2020年06月19日

【序章】
 前回迄東北地方の温泉宿の訪問記を掲載してきたが今回からは幾つかのそば店を紹介したい。
 奥州藤原文化の繁栄が遺した中尊寺や毛越寺等は岩手県西磐井郡平泉町にあり近年には世界遺産にも登録された存在である。これ迄平泉町では地水庵高松庵泉屋のそば店を訪問してきたが今回は駅前や中尊寺の町営駐車場がある中心部からは南に外れた農地に囲まれて営むそば店の訪問記である。

【皀莢庵】
 その店の名は「皀莢庵」、読めるか?
70年近く日本語を常用して生きてきた筆者も初めて遭遇する難読漢字は「さかちあん」と読むそうである。
PC搭載の日本語入力フロントエンドプロセッサの変換候補には絶対に現れない代物を単漢字検索で拾い上げて項目に記載する店名を作成した次第。(折角拾い上げた固有名詞なので怠りなく単語登録も済ませた。)
但しネット上では本稿の表題に採用した平仮名表記の「さかち庵」で通用しているので態々難漢字を掘り起こす必要はない。

【余談:店名の漢字】
 以下に難読漢字の掘り起こしを披露するがこれははあくまでも漢和辞典の領域の話題である。

 「皀」(音読みはヒュウ、ホウ、ヒキ、キュウ、キョウ、コウ、ヒョク、訓読みはない)。異字体は「香」でかおり/かんばしい/かぐわしいの意味を持つ。この文字の部首はしろへん。

 「莢」(音読みはキョウ、訓読みはさや) さや/豆類の種子を包む殻などの意味をもつ漢字で部首はくさかんむり。
「莢」の用例
丸莢【まるさや】[植]さやいんげん(サヤインゲン、莢隠元)。
サイカチ/皀莢【さいかち】
[植]([学名]Gleditsiajaponica)マメ目(Fabales)マメ科(Fabaceae)サイカチ属(Gleditsia)の落葉高木。
[虫]カブトムシの別称。

 「皀」の文字単独では想像すらできなかったが「莢」の用例に挙げられた「皀莢【さいかち】」に至ってその謎は氷解した。
即ち店名の「皀莢庵」はさいかちの木に因んだもので「さいかち」の呼称を「さかち」と短略するのはこの地の方言だろうか。訪問時に近辺でそれらしい高木を見た憶えはないのだが。
因みにウィキペディアにも「サイカチ」の項目があり昆虫との関係の記述が興味深くカブトムシの別称の意味が理解できた。但しこの項目では漢字表記には異字体の「皁莢」が使用されている。


【さかち庵へ】
 仙台市方向から平泉町の「さかち庵」向かう道筋の基本はいつもの通り東北道か下道の国道R4で岩手県一関市を目指すことになる。
東北道を北上した場合は一関ICかもう一つ先の平泉前沢ICでR4へ降りるが後者は一旦南へ折り返し平泉中心街へ向かう冗長な経路となる。
一関ICから降りた下道のR342を東進してR4に入り北に進んだ平泉バイパス南の分岐点から左の旧国道に進む。毎度述べているがこの旧国道は現在県道r300となり平泉町の中核部分となる平泉駅入口や中尊寺の駐車場脇を通過して平泉バイパス北交差点でR4に合流する観光施設アクセス路である。
さかち庵周辺図byGoogle

 さかち庵はr300に入って最初に現れる左折できるT字路分岐を西に進み田園地帯を縦に貫く東北道を潜り抜けた直後の脇道に折れて南下した集落に位置している。
さかち庵の位置by地理院

カーナビでは分かり易い経路に見えたが訪問時は中尊寺Pに併設するスマートICの土木工事の真っ最中で周辺の田圃道は通行止めの規制や迂回路の案内がありこれに従って進むと周辺に配置された幟に迎えられて店先に誘導された。

【さかち庵の外観】
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  さかち庵の外観
 白壁に腰板を配した意匠の店の屋根に掲げられた看板には皀莢庵の文字が誇らしげである。店舗の奥で緑の丘陵を背後にした2階建ての建物は亭主の母屋であろう。
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  看板
屋根上の屋号看板にはさかちあんの読み仮名と電話番号が付記されている。
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  玄関
母屋と店舗を繋ぐ位置にある玄関に懸かる青暖簾が営業中の証し。

【店内】
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  テーブル席
暖簾を分けて入った店内は左手に置かれた茶箪笥の先に目隠し暖簾を下げた厨房の入口がある。左側に拡がるフロアには2脚のテーブルが配置されているが手前の窓側は六角形の個性的な形状に対して奥は一般的な長方形で各々に6名分の椅子が用意されている。
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  小上り
フロアの奥は畳5枚を敷いた小上りに2脚の座卓の設えでこちらも各々6名程の着座が可能である。
開店直後の訪問となり先客は居なかったのでこの小上りに席を定めた。
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  店内風景
用意されている座布団を敷き座卓に落ち着いて店内の入口方向に向けた視線の先にあるのがこの風景。

【品書】
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  卓上の装備
 卓上にはそば店では典型的な塗り物の箸箱と七味の容器に品書の備えがある。
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  品書き
ラミネート加工が施された品書はB4版の大型でA4版が主流の最近では珍しい存在に見える。
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  そばの品揃え
品書を見るとそばは大きく更科そばと手打ち藪そばの二種に分かれている。
更科そばの品揃えは6種の温そばと3種の冷そばがあるが手打ち藪そばは3種の冷そばに限定されている。両者に共通するざるそばは更科が\600、手打藪が¥750で天ざるそばは更科が\950、手打藪が\1050となっており大盛りでも更科が+\100に対して手打ち藪は+\200と手打藪が更科より高額に設定されている。
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  ざるそば
小上りの壁面にも\10の価格差がある更科と手打ち藪のざるそばの掲示がある。
更科そばは本来製粉工程の初期に得られる貴重な一番粉のみを使用して白色透明の麺に仕上げたそばとされているのでこの価格差は腑に落ちないが手打を冠していないので機械製麺であろうか。
後の会計時の会話に依ると使用する蕎麦は県内産ではなく北海道産ということで製粉所を経由する流通ルートから仕入れていると思われる。従って手打ちの藪そばより安価な設定の更科そばに高級な更科粉を使用しているとは考え難く単に手打ちか否かの識別目的で藪と更科の呼称を冠しているのではないだろうか。品揃えからしても種類が豊富な更科そばがこの店の標準仕様で冷そば3種に限定されている手打藪そばは別格の扱いに見える。

Part.2は手打ち藪そば



(00:00)

2020年06月12日

【朝食後の入浴と清掃】
 朝食は8:00頃迄に終えており10:00のチェックアウト迄時間の余裕があったので最後の入浴を果たすべく浴場に赴いた。温泉浴場は9:30迄利用できると案内されていたので露天や内湯を行き来してのんびりと過ごしていたが9:00を過ぎると複数の従業員が入場しあちこちで清掃作業の段取りを開始した。更に浴槽の湯口給湯も停止してしまったので急き立てられる雰囲気で早々の退去を余儀なくされてしまった。
これには大いに不満を感じたので予約サイトの口コミ情報に記したところ宿から「清掃前の準備方法を変更」した旨の返信が掲載され改善に取り組む姿勢が確認できた。

【チェックアウト】
 チェックアウト時間の少し前に1Fのフロントに降りてカードキーを返却した。既に述べた通り基本的な宿泊プラン料金はチェックイン時の前払いで済ませていたが夕食時になお前払いした基本的なプラン料金は宿泊単価@11825(消費税込)×2=¥23,650に入湯税@150×2=¥300が加算されるが予約サイトのポイント割引き分¥1200を利用した支払額は¥22,750であった。
 大船渡温泉は消費増税に伴うキャッシュレス還元の対象施設となっていたのでカード払いにしたところ後日に5%相当額が還元された。

【碁石海岸】
 大船渡温泉からの帰途に大船渡湾に程近い碁石海岸に立ち寄ってみた。碁石海岸は大船渡市の最南端にあり西隣の陸前高田市に接する位置で南に突出した碁石岬の半島南端から東側の太平洋に面する海岸の総称であるらしい。
従って地形的には南東方向に開口する大船渡湾の外海に海岸線が連続しているが碁石海岸の主要な景観地に向かう道筋は大船渡漁港に向かう県道r38から半島基部の傾斜地を乗り越えて一旦南側の門之浜漁港に抜ける県道r275経由で碁石浜に向かう道筋を辿らなければならない。
以降は北に反転して半島中心部の丘陵を上る山道に変貌しレストハウスを備えた碁石海岸インフォメーションセンターの広い駐車場に達してr275の県道は終焉する。この先も道幅を維持したアップダウンの山道が続き複雑な道路網が展開するがこれらに県道の指定は見当たらないので市道であろう。

【碁石海岸インフォメーションセンターの遊歩道】
 インフォメーションセンターは碁石海岸観光の中心施設でレストハウスの他にもキャンプ場や市立博物館が設置されると共に海岸線の崖上には碁石岬の碁石崎灯台に至る遊歩道が整備されている。インフォメーションセンターで入手したガイドマップに依ると灯台へ向かう道筋は40分コースとされているがこの先の帰途は長丁場となるので15分程とされる短縮コースの散策に向かった。
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  碁石海岸案内図
ガイドマップの他駐車場内にも碁石海岸の案内看板が立ち
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  遊歩道の案内
遊歩道の案内図が掲出されている。
先ずは海岸線に向けて松林を横断する道を数分進むと
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  雷岩展望台
水平線を望む海の景色の前に海崖の急傾斜地形に櫓を組んだ形で張出した構造の展望台が現れる。
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  綾里崎
この展望台から大船渡湾方向の北側を望むと太平洋に突出する綾里埼(あやりざき)の遠景の手前に男島と女島の小島二つが浮かんでいる。画面の角度では一つの島にも見えるが地形的には独立した2島が重なった光景となっている。
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  海馬島
更に手前で荒波に翻弄されている岩礁は海馬島(とどしま)で30m程もあろうかと思われる高い視点から見るアス式海岸の迫力は強烈である。
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  雷岩
南に向きを変えると展望台の高さに迫って屹立して存在感を誇る雷岩(かみなりいわ)の景観が間近にある。
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  乱曝谷
雷岩と海涯を隔てる峡谷状の水道は乱曝谷(らんぼうや)と称されているがその理由は雷岩の洞穴に打ち付ける波が空気を圧縮して重低音発する故の命名とか。
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  南側の展望台
雷岩の展望台から遊歩道を乱曝谷沿いに南の碁石岬方向へ進むと海岸に分かれて下る階段状の分岐路を見つけた。
この分岐を進むと行き止まりに置かれた小さな展望台に達する。ここは雷岩と乱曝谷の水道を雷岩展望台の逆方向から眺める景観があり
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  雷岩展望台の遠望
奥に見えている海涯上に先程海馬岩や雷岩を見下した雷岩展望台の櫓組みも確認できる。
ここから出発点のインフォメーションセンターへ引き返して15分とされる散策コースを20分程で踏破した。所要時間は展望地の滞在時間に左右されるので20分は写真撮影に時間を割いた結果かと思う。
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  40分コースと遊覧船コース
 先に触れた通り遊歩道の観光は碁石岬まで足を伸ばす40分コースの設定がある他にこのコースの途中のえびす浜を起点として小型遊覧船が海岸線を40分で周遊するコースも用意されている。遊覧船は次に紹介する北部の穴通岩迄運行されおり天候に恵まれれば乱曝谷の中を航行することもあるらしい。

【穴通磯】
 インフォメーションセンターから位置的には大船渡市中心部に近い北方向の海岸線には更に奇岩の景観がある。それは穴通磯(あなとおしいそ)の地で位置的には確かに大船渡の中心部に近いのだが陸上移動ではインフォメーションセンター迄の県道r275から北上するアップダウンがあり複雑な道形の市道を突き詰める必要がある。
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  穴通磯の展望所
道筋は複雑だが要所に置かれた案内看板を辿ると小振りに整備された駐車場に行き止まり片隅に拓かれた歩道を海岸方向に下っていくと大船渡湾方向の景観がある展望所に達する。展望所には高床式の東屋が設けられており
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  穴通磯
北側を見ると海岸から突出した大岩の海面に刳り貫かれた三つの海洞を擁する奇岩の景観がある。
左奥で白く輝いて見えているのは大船渡湾口の防波堤で奥に続く湾内に侵入する荒波を防御する役割を担っている。
今朝大船渡温泉の施設から望んだ湾の景色とは逆方向の景観である。陸路で辿った碁石海岸は険しい遠路の実感が拭えないが海上の見通しで大船渡湾は指呼の先の存在である。
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  穴通磯の説明看板
展望所に設置された看板に依ると大船渡市末端半島東南側6kmの碁石海岸はリアス式海岸の中でも断崖や洞穴等の景観があるが穴通磯は三つの洞門を有する奇岩とされている。
碁石海岸の地層は砂岩と頁岩(けつがん)が交互に重なったもので頁岩は泥の堆積岩の為層状に割れ易く海水の浸食に依る自然現象で奇形岩が創出されるということらしい。

【帰途】
 碁石海岸の訪問は昼過ぎ迄に終え三陸道を経由して夕刻前に帰宅を果たした。




(17:00)

2020年06月05日

【朝食会場】
 バイキング方式の朝食は6:30~8:45の設定で8:30迄の入場が促されており昨夜と同じ1Fの宴会場で供されるが会場内はテーブル配置が変更されて多数の料理が並べられている。

【バイキングの料理】
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  トレーと取り皿
 会場入口からの視界にはトレーと取り皿に箸やお手拭きの提供コーナーが配置されている。先ずはここでトレーに箸や皿等を載せて料理が並ぶテーブルに向かう。
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  デザート類
入口脇のテーブルにはフルーツや杏仁豆腐等のデザートがあり
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  パンコーナー
その隣は食パンやロールパン、クロワッサンにバターやジャム類が並ぶパンのコーナーでパンを加熱する2台のオーブン型トースターが用意されている。
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  塩辛といくら
会場中央のテーブルは海鮮丼の材料を揃えたコーナーで左端の奥に塩辛があり手前は小皿に分けたいくらが並ぶ。撮影時には残り二皿であったが随時補給されているので不足は感じない。
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  海鮮丼の具材
右に移るとマグロのぶつ切りとイカ刺しを載せた皿があり簡単自分で作る!海鮮丼の作り方と題する説明書きが添付されている。①丼にご飯を盛り付け②お好みの具材を乗せて完成と簡潔な指示がある。画面では見辛いがこの説明書にはイラスト付きのスタッフおすすめとして「迷ったら…全部乗せ!」と大胆な提案が記されている。
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  明太子や蒸し海老など
その右隣は明太子、かにかま、とろろに蒸し海老が控え甘酢生姜と桜でんぶ、刻み海苔の脇役も用意されている。
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  納豆
海鮮丼コーナーの背面に廻ると小鉢に分けた納豆と
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  目玉焼き
目玉焼きに
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  温泉卵
温泉卵も加わっている。温泉宿での温玉は風情を感じる有難い存在だが冷静に考えるとここの源泉は冷泉で40数℃迄加温しても温玉に加工できる70℃程度には遥かに及ばないので厨房で加工したものであろう。
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  和風総菜
温玉の隣はひじきの煮物、揚げナスの料理に
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  漬物と梅干し
くきわかめの醤油漬け、梅干し、漬物に味付け海苔の和食材が配置されている。
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  サラダコーナー
もう一つ中央のテーブルには生野菜やミニトマト、シーチキンのサラダコーナーでここにもわかめが登場している。
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  ウインナーやから揚げなど
右隣りはスライスハム、ウインナーと野菜炒め、鶏の唐揚げの定番品に
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  魚料理
さんまのみりん干しとぶり大根の魚料理に
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  肉じゃが、温野菜など
肉じゃが、いかと里芋の甘煮が並び根菜類の蒸し野菜も加わっている。
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  湯豆腐とコーンスープ
会場奥の窓側には暖かい料理とご飯類が配置されている。先ずは土鍋で暖められた湯豆腐でたれや薬味類が用意されている。隣は湯煎で待機しているコーンクリームスープ。
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  わかめの味噌汁
次の味噌汁は期待通り具材がわかめで取り分けるお椀には予め刻み葱の薬味が用意されている。
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  朝カレー
出ました朝カレー。鉄鍋をIHコンロで保温されるビーフカレーの説明書きには既に見た温野菜を載せる野菜カレーや揚物で満腹カレー、目玉焼や温泉卵カレー等々オリジナルカレーを薦めている。
会場内に天ぷらやフライの類は見当たらなかったので満腹カレーの揚物は疑問を感じたが鶏唐揚げがあったことを思い出して納得した。ここまで多くの料理を見てきたが揚物の範疇にあるのは鶏唐のみである。ウインナーと野菜の炒め物は油で炒める調理法がやや近い存在と思われるがこの宿では魚脂以外に動植物油を使う料理は間違いなく少数派である。
因みに前夜の夕食の料理を振り返っても動植物油は帆立のバター焼きと天婦羅盛合せに限定されている。
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●7874  お茶漬けコーナー
カレーの鉄鍋の先はお茶漬けコーナーでポットで保温される出汁に茶漬けの具材として梅、鮭、昆、野沢菜に練りわさび、揚げ玉、刻み海苔が控えている。次のコーナーで茶碗に取り分けたご飯にこれらの具材を載せてだし汁を掛ければ茶漬けが完成する。
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  白米と玄米ご飯
ご飯の保温ジャーは象印とタイガーの競合品が仲良く並んでおり手前は白米のご飯が奥は三部突きの玄米ご飯が用意されている。
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  だし巻き卵の実演
窓側に並ぶ白いクロスの別テーブルは実演コーナーとなっており焼だし巻き卵が供されている。写真撮影時には偶々外していたが随時料理人が卵を巻く技を披露してくれる。
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  飲料コーナーのお茶
実演コーナーの右側は飲料類を提供するテーブルで煎茶、ほうじ茶、紅茶に
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  コーヒー
コーヒーと
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  ジュース類と牛乳
りんごジュース、オレンジジュース、トマトジュースに小岩井牛乳が提供されている。

【朝食】
 朝食バイキングに並んだ多彩な料理から選択したのは
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  取り分けた朝食
日常普段から欠かさない生野菜に温玉を添え小分けの取り皿は揚げナスに出汁巻き卵、いかと里芋煮、目玉焼き、鶏唐揚げなど。毎度の事だが玉子料理が多く嗜好の偏りを感じる。
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  海鮮丼の材料
別皿に採ったマグロと蒸し海老にイカといくらで海鮮丼に
仕立て海の幸の朝食を味わった。

Paet.9はチェックアウト迄と碁石海岸の景観



(00:00)

2020年05月29日

【夕食の会場】
 夕食と翌朝の食事は宿泊棟1Fの宴会場で供される。
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  夕食会場
フロントの脇にある通路の会場案内に従って奥に進むと
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  会場入口
右手が会場となっており
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  夕食会場
内部は和風の低い椅子とテーブルが配置されており部屋別に指定された席に着く。

【夕食の料理】
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  着席時の卓上
 着席時の卓上には僅かな小鉢が並ぶのみだが
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  献立の品書
これから供される料理を記した献立が用意されている。
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  ドリンク券メニュー
先ずは特典のドリンクサービスのメニューから日本酒の酔仙一合徳利を常温で調達した。このメニューは
より多彩な品揃えで供される一般的な飲料類
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  飲料類(焼酎、梅酒、ワイン等)
の一部を抜粋したものとなっている。
 以下は献立の記載に順に料理を紹介する。
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  珍味三品
 前菜は三陸の珍味でメカブとホヤ、菊芋がそれぞれ三つの小鉢で供される。
画面上のホヤの鉢には若布が添えられている。右下のメカブは刻んで粘り気をつけ生姜風味の酢醤油味で戴く。ここまではいずれも海のものだが左下の小鉢の菊芋は畑の産物で厳つい外見に怯まず食すると里芋に似た滑らかな食感が美味であった。
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  漬物皿
 香の物と記された漬物も海の物の若布が多数を占めている。
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  お造り
 後から運ばれたお造りは鮑、鮪、鱈、甘えびの四点盛り。鮑が貴重な存在だが白身の鱈も新鮮な食感で甘えびも大きめで好ましい。
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  しゃぶしゃぶの生若布
 会席料理の主役となる台の物は帆立のバター焼きとわかめしゃぶしゃぶの2品が記されているが先に供されたのはしゃぶしゃぶ用の生若布で
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  しゃぶ鍋
沸騰した鍋に投入してしゃぶしゃぶすると
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  緑の若布
褐色の生若布が鮮やかな緑に変色し食欲がそそられる。しかもこの生若布はお代わり自由と案内されているがお代わりどころか食べきれずにお残しする事態となってしまった。
2~3月頃の三陸海岸は若布収穫の最盛期だそうでこの時季には仙台市内のスーパーにも流通し湯通しを済ませた緑色の若布パックが陳列されているので家庭の食卓の小鍋でも若布しゃぶしゃぶを楽しむことができる。
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  帆立バター焼き
わかめしゃぶしゃぶに遅れて台の物二品目の帆立バター焼きが供される。大振りで肉厚の貝柱とヒモ(ミミ)の部分が貝殻に載っているが貝毒が溜るとされる黒色のウロ(中腸腺)は取り除かれている。バター風味で肉厚の貝柱は食べ応えがあった。
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  わかめの茶碗蒸し
蒸し物は自家栽培と称するわかめの茶碗蒸しでしゃぶしゃぶと併せて和布三昧の献立となっている。
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  カブト煮のワゴン
煮物は品書に記されている通り大船渡温泉の名物料理を自称する三日間煮込んだカジキマグロのカブト煮で大皿を載せたワゴンが各テーブルを廻り
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  カジキマグロのカブト煮
小鉢に取り分けて供さされる方式となっている。
カブト煮は言うまでもないと思うが刺身や切り身の加工が困難な魚の頭部を丸ごと煮込むもので大型魚では脳天や頬肉など美味な部分が少なからず複雑な骨格の中に潜んでいる。この頭部を長時間煮込んで骨離れを促進することで秘匿されていた美味が味わえるので煮物料理の真骨頂と感じる。
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  ソイの焼魚
煮物に続く焼物は自家製を冠したソイの一夜干しは魚尽くめでお魚天国状態。流石に全ては食べきれずしゃぶしゃぶと同様にお残しとなってしまった。
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  天ぷら
揚物の天ぷらは魚類に先立って供されが献立では心を込めて揚げた天婦羅盛合せと記されている。
2尾の海老以外は茄子、南瓜、大葉の野菜類が海の物から目先が変わって有難く添付の抹茶塩で食する。
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  冷酒
豊富な料理に一合の日本酒では足りず冷酒を追加した。選んだのは宿のおすすめとされている酔仙の特別純米生貯蔵酒。この生貯蔵酒は南三陸大船渡温泉文字を配した特別ラベルを纏っており300mlで¥900の価格は一般的な設定。
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  地酒の紹介
 因みに酔仙酒造は地酒の紹介に依ると隣町の陸前高田市の企業だが東日本大震災で蔵が流出した後大船渡市に蔵を新設再建した三陸復興のシンボル的な存在とか。
酔仙ブランドの日本酒はにごり酒、純米酒、純米吟醸酒も紹介されているが広田湾の海水中で熟成した海中熟成酒の取り扱いは珍しく未熟成酒との飲み比べセットが用意されている。
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  鱈汁
 多彩な海の料理と冷酒を楽しんだ結果ご飯を収める腹の余裕がなくなり岩手県産ひとめぼれの白ご飯は諦め止椀の鱈汁を戴いたがお椀の底には大振りの鱈の身が潜んでいた。
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  果物
締め括りにいよかんとぶどうのデザートを戴いて夕食を終えた。

Part.8は大船渡温泉の朝食



(00:00)

2020年05月22日

【露天風呂】
 大浴槽と小浴槽の間にある二重ドアから屋外に出ると露天風呂の空間が控えている。
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  露天風呂
浴室ドアから3段程下った高さに小振りの石貼り浴槽がある。
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  露天風呂
この浴槽は大人が足を伸ばして入れば4名程で満員となり譲り合っても7名程が限界と思われる。ガラス窓の内側には小浴槽の位置で背後の隔壁は先に述べた休憩所の展望窓からの目隠しを担っている。
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  湯口
出入口側の壁面角に設けられた石組みの湯口から湯が注がれているが明確な越流口が見当らない。
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  底面排湯口
浴槽内を観察すると底面と
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  側面給湯口
側面に内湯の大浴槽同様の円形給排口を認める。従って露天の浴槽も内湯と同じ循環濾過滅菌装置が稼働していると思われる。
上の2枚の写真はいずれも湯表面の反射が強く給排湯口の存在が解り辛いが底面の写真では白い円形が二つ並んで見えている。側面写真は画面中央の少し上のステップ下段側面に円形の開口があるのだが解り辛いのでマーキングを施しておいた。
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  露天風呂の景観
 露天風呂から望む船渡湾の景観は壮大で湾口の防波堤で守られて鏡の様に陽光を反射する穏やかな湾内に整然と並ぶ多数の養殖筏を見ながら湯に浸かる幸せを味わうことできる。

【温泉の成分】
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  温泉分析表
 先に触れたが温泉の成分分析は額入りで脱衣室に掲げられている。
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  泉質表示
この掲示に依ると源泉名が大船渡温泉の泉質はナトリウム·カルシウム·塩化物泉で低張性アルカリ性冷鉱泉とされている。
19.1℃の源泉は使用位置で42℃となっているので加温は必須で
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  加温と循環の表示
右側の欄には加水無しの源泉100%と共に加温と掛け流しと循環濾過を併用し塩素系薬剤の使用が明記されている。
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  成分分析
成分分析の欄を見ると主要なものは温泉1kg当たりナトリウムイオン(Na+)が1187mg、カルシウムイオン(Ca++)803mgに塩化物イオン(Cl-)3241mg、硫酸イオン(SO4--)87mgで確かにナトリウム·カルシウム·塩化物泉でありpH8.9は弱めのアルカリ性泉である。
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  木質バイオマスボイラー
分析表を掲げた壁面の下には「温泉·給湯と1階の床暖に木質バイオマスボイラーの熱を利用しております」と記されたパネルが配置されていた。
このパネルの説明に依ると木質バイオマスボイラーは森林の間伐材を製材した端材をボイラーの燃料に活用し化石燃料に頼らない方式故に二酸化炭素排出抑制に貢献するとされている。

Part.7は大船渡温泉の夕食



(00:00)

2020年05月15日

【温泉棟の休憩所】
 2Fの客室からエレベーターで1Fのロビーに降りると
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  温泉棟の休憩所
海側の右手に温泉棟の広い空間があり海に面した外壁面は既に紹介した通り全面ガラス張りの展望所となっている。
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  休憩所から玄関(山側)方向
この空間は板床に畳2畳分の大型縁台が6基配置された休憩所の役割も担っている。日帰りの入浴客は何度かの湯浴みを楽しみながらこの縁台も利用しで時を過ごすのであろう。
海に向かって休憩所の左側が青色暖簾を掲げる男湯の入口で左右対称位置の右手に女湯が配置されている。

【脱衣室】
 男湯の青暖簾を潜り
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  スリッパ棚
館内履きを収める棚にスリッパを預け裸足で脱衣室に上がる。
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  脱衣室の入口方向
脱衣室手前の右手は
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  洗面台と冷水器
4基の洗面台が設置されその先に冷水給水器が配置されている。上の画面では洗面台の鏡に写る扇風機等が重なって大変見辛いがこの給水器は吹き上がる水を直接口で受ける噴出孔とU字型の長いパイプ口から落ちる水をコップに注ぐ両方の方式を備えた珍しい構造をしている。
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  冷水器
最近流行っている感染症に備える観点からはコップで受ける方が好ましいのではないだろうかと思う。蛇口から受けるための紙コップの用意が有難い。
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  浴室入口
給水機の先には浴室の入口が構えており
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  ベビーベッド
その奥にはベビーベッドと
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  貴重品ロッカー
施錠できる貴重品ロッカーが設置されている。
昔は男湯の脱衣場にベビーベッドを見掛けることは皆無であったが近年は凡その施設でこの様な機材が配置されている。しかし実際に利用している場面を目にしたことがないのが少し残念。
貴重品ロッカーの左壁面に懸かる額は温泉泉質の分析表示だがこの内容は後に言及する。
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  脱衣棚
浴室入口逆側の左手にはプラスティック籠を備えた開放型の脱衣棚が並んでいる。
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  脱衣棚の奥
脱衣室の奥にある窓を開けてみると
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  脱衣室窓から見る宿泊棟
網戸を介して山側に建つ宿泊棟が見え温泉棟との位置関係が把握できる。宿泊棟1Fの縦長窓は食事会場となる宴会場の部分で外観からも2F以上の客室とは明確に識別できる。

【内湯浴場】
 脱衣室と隔てる二重のドアを通って入った浴室は手前の左右に洗い場が設置されている。
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  左側の洗い場
左側は6基のシャワー栓を配した小規模なブースだが
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  右側の洗い場
右手は奥壁まで伸びた広い部分に多くのシャワー栓が並んでおり左右併せた総数は20基となる大規模施設となっている。
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  大浴槽
左の洗い場奥の窓側には長方形の右角を円弧で切り取った形状の大きな浴槽が構えている。
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  小浴槽
浴槽から視線を左に移すと露天風呂に繋がる二重ドアの先に小振りの方形浴槽が見える。こちらは大浴槽より湯温がぬるめに設定されているが個人的な好みではぬる過ぎで大浴槽が適温であった。
但し後に紹介する通り大船渡温泉の源泉は冷泉なので何れの浴槽も湯温までに加熱されたものである。
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  大浴槽の湯口
大浴槽の湯は基本的に窓側左隅の湯口から注がれているが清掃30分前となった撮影時には給湯が止まってしまい残な光景となった。
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  大浴槽の底面
浴槽の底面には円弧の曲線に沿って見えている三つの排水口が循環装置の存在を示唆している。
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  大浴槽の循環給湯口
更に左壁面に並ぶ同じ形状の設備からの給湯を確認して循環濾過と塩素滅菌装置の稼働を確信した。
浴室内では滅菌剤起因と思われる塩素臭(プールのカルキ臭と同様の臭気)を感じた。

Part.6は露天風呂と大船渡温泉の泉質



(00:00)

2020年05月08日

【茶菓子】
 室内の観察を一通り終えて窓側の小テーブルに落ち着く。
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  茶菓子
卓上に用意された茶菓子のうにせんべいは三陸ならではのもの。踏込みの湯沸しでお茶を淹れて一服する。

【館内の案内】
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  館内案内
 一服後にフロントで手渡された案内書に目を通す。
客室カードキーに関しては既に紹介した通り客室ドアがオートロックでなお且つ室内の電源キーを兼ねているので人数分のカードが無いと不都合が生じてしまう。
浴衣に関しては2Fの訳あり室と3F以上の階層で扱いが異なる。3F以上ではエレベーター前に各種のサイズを揃えているので必要なものを選ぶが2Fでは室内用意したMサイズ以外はフロントにリクエストする独特な方式となっている。但し2Fの客にはチェックイン時にも同じ説明があるのでその場でザイズが異なる浴衣を受け取ることができる。
朝食は1Fの宴会場のバイキングで6:30~8:45に設定されている。
温泉はチェックイン以降翌朝9:30迄可能となっており深夜の入浴も可能となっている。
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  室内設置の案内書
但し室内に設置されていた案内の温泉浴場では翌朝8:30迄で以降は清掃時間と記載されておりフロントで受けた案内書とは1時間の相違に迷ったがフロントの案内が最優先であろうと判断した。
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  館内図
フロントの案内書の裏面には客室棟を中心にした館内各階層の平面図が立体的に描かれており施設の概要を把握することができる。その内容は既に紹介した通りで1Fは玄関とフロントロビーの奥に食事会場となる宴会場が控え海側は温泉浴場が配置され施設中央の客室棟は2F~5Fが客室に充てられている。

【食事券】
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  カードキーと食事券
 案内書と客室のカードキーに併せてフロントで食事券手交されていた。
今迄紹介してきた多くの温泉宿の食事券は翌朝のバイキング会場への入場券であったがこちらは夕食の食事券で人数分のドリンク券は夕食時限定で宿泊プランに含まれたサービスである。ドリンク券の行方は夕食の項で。

【客室の景観】
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  窓外風景
 先に掲載した写真の通り2Fの訳あり部屋から望む大船渡湾の景観は手前に構える温泉棟の大屋根の妨げが気になるが館内にはこれを補完する展望所が設けられている。
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  浴室棟展望窓の景観
フロントロビーから海側に続く浴室棟の展望窓からは大船渡湾を遮蔽物無しに湾口の防波迄見通すことができる。
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  屋上で観る朝日
またエレベーターで宿泊棟の屋上へ上ると養殖筏が並ぶ湾内へ降り注ぐ朝日の景観も堪能でき
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  客室で観る朝日
ほぼ同時刻に2Fの客室から望む景観とは異なる広い視界を得ることができる。

Part.5は大船渡温泉の温泉施設



(00:00)

2020年05月01日

【宿泊プラン】
 紹介が後回しになってしまったが、今回は「客室の景観よりお得料金のさざ波コース」を予約していた。これは宴会場に近いという所謂訳あり部屋でその分料金が割安の設定となっている。

【訳ありの客室へ】
 フロントで指定された客室は205号室で荷物を携えエレベーターで2Fに降り立つと廊下は年配の人々で大混雑を呈していた。どうやら老人会か何か昼の宴会が終わって帰途に就く集団に遭遇したらしい。
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  2Fの配置
先に述べた通り2Fの山側は和室の宴会場で廊下の海側の客室はエレベーター側の201室から順に10室が並んでいる。高齢の方に荷物をぶつけない様声を掛けて進路を譲って貰いながら部屋に辿り着いた。

【2Fの客室】
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  客室内
カードキーをかざして解錠したドアの奥は踏込みの板床の先に畳敷きの和室が見えている。
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  室内電源
入室ごは何をさて置き先ずカードキーをドア脇にあるポケットに挿入して室内電源を起動しなければならない。
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  洗面台
 踏込みの右手は湯水混合泉を備えるコンパクトな洗面台がありその奥は
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  トイレ
シャワー機能を装備したトイレが配置されている。
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  冷蔵庫等
対する左側は棚の上にタオル類や浴衣、丹前にティッシュ箱、小型のIH湯沸しポットと煎茶のティーバッグ等が用意され棚下には空の小型冷蔵庫が控えている。
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  室内
 畳8畳の和室空間の窓側にある奥行き40㎝程の板床は一般的な広縁を小規模に凝縮した設えとなっている。
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  寝具
室内には予め寝具が延べられており広縁に配置される小振りのテーブルが置かれていたが一般の和室に標準で装備される通常の座卓は見当たらない。寝具が敷きっぱなしなので大きな座卓は邪魔という事なのかも知れないが手狭な卓上ではパソコンやタブレット等の機材を並べる平面の不足感が少し残念。
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  窓外風景
 2枚上の室内写真にも写っている通り窓外には大船渡湾の景観があるが客室棟より海側に建つ温泉棟の屋根が視界の下部を占拠して見通しを妨げている。
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  窓外風景
この窓外景観の支障も訳あり部屋とされるもう一つ理由である。
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  客室棟2F
既に紹介した様に2F海側には10室の客室が並んでおりこれらの部屋ではその位置にも依るが多かれ少なかれ景観障害があると思われる。
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  空調室内機
 窓側の左壁面に配置されたエアコンは一般的な装備だが
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  換気装置
右側に設置された「ロスナイ」は旅館設備としては珍しい存在で驚いてしまった。
空調に関連する技術を少しかじった者ならば「ロスナイ」は三菱電機が開発した独自製品と認識できる筈だが素人にはチンプンカンプンかと思う。ごく簡単に説明すると室内空調の冷気や暖気を外気に逃がさない様に熱交換機能を備えた換気扇で冷暖房の省力化に貢献できる装置である。
但しこの装置はエアコンの室内機に較べて運転音が大きく就寝時には安眠を妨げる騒音源と感じたので運転を停止した。
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  右壁面
窓に向かって右側の壁面は寝具を収納する一間幅の押入れがあり
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  左壁面
左壁面は窓側から腰高のクローゼットと床の間風の板床にテレビ台が配置されている。
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  クローゼット
通常は乱れ箱が置かれる筈のクローゼット内は空で
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  浴衣やタオル等
既に記した通り踏込みの棚上に浴衣と丹前にタオル類が配置されており
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  タオルバッグ
これを浴場に携行する大型のメッシュバッグも用意されている。どこの宿でもそうだがフェイスタオルと大判のバスタオルを携えて何度も浴場を往復することになるので手提げバッグの提供は大変有難い。
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  踏込み側の壁面
室内で入口側に振り返るとその壁面には5種の機器が並んで取り付けられている。
左から順にエアエアコンのリモコン、館内放送の音量切換と思われるスイッチ、館内電話、ロスナイの運転スイッチ、室内照明のスイッチである。

Part.4は館内案内と客室景観



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2020年04月24日

【大船渡温泉の内部】
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  玄関内
 玄関ガラス戸の自動扉の内部はアーチ形の土間で靴を脱ぎ一段高い板床風のフロアへ館内履きのスリッパで上がる構造となっている。
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  フロント
フロアの左側はフロントカウンターが置かれ反対側の右手は下足室となっている。
この下足室には銭湯で見掛ける木札を跳ね上げて施錠する方式の下足箱が多数並でおり更に奥には開放型の靴棚も配置されている。
宿泊者に下足箱の大きな木札は邪魔な存在なので奥の開放棚に靴を預けてフロントに向かうことにした。客室数69室に比較して多数の木札施錠の下足箱は日帰り入浴客を意識した備えに見える。
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  ロビー空間
下足室とフロントの間は館内奥に見える大きなガラス窓迄床続きの広い空間で
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  雛飾り
フロントロビーの奥には季節柄雛人形の段飾りが展示されていた。
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  海の展望窓
雛飾りの先にも段差のない床面の広い空間が続き最奥の大面積ガラスが大船渡湾の展望所となっている。因みにこの空間の左右は男女別の温泉浴場施設で展望窓側に配置された畳敷きの縁台は入浴客の休憩所となっている。
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  フロントカウンター
 フロントに赴いたチェックインでは夕食の希望時間を問われ前払いの料金決済の後に時間を記した夕食券と客室の施錠と電源作動に必要な人数分のカードキーが渡されて指定の部屋に向かった。このカードキーは客室のオートロック解錠と室内の電源維持機能を併せ持っているので人数分の提供は不可欠なサービスである。

【施設内部の構造】
 外から見る大船渡温泉の施設は5層の建物に目を奪われるが内部は以下の様に3棟が密に連結した構造となっており
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  W-iHiルーター
全館に自動接続できるW-iHi環境が整備されている。
 以下に3棟の機能を順次紹介する。
①フロント棟 … 先に述べた玄関と下足室、フロント、ロビーに加えて
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  売店
売店等を備えた大船渡温泉の中枢でフロントの奥には厨房の備えも窺える平屋の構造。
 ②客室棟 … ロビーの空間を介してフロント棟に連接する5層のRC陸屋根構造で
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  エレベーター
1Fから屋上階迄を連絡する2基のエレベーターを備えており

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  屋上から望む大船渡湾の景観
屋上は大船渡湾を一望できる展望所としては開放されている。1Fと2Fの山側は食事会場となる大小の宴会場が置かれ2F海側と3F~5Fは客室に充てられている。
 ③温泉棟 … 客室棟より海側に建つ高屋根の平屋造はフロント棟と客室棟1Fから続くロビー空間の最奥には床面から屋根迄開口する大きな展望窓が海の景観を採り込んでおりその左右に男湯と女湯の温泉浴室が配置されている。
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  コインランドリー
更に男湯の客室棟寄りにはコインランドリーが設置されており室内には飲料自販機

 ①~③の建物は1Fのフロントロビーで見る限り床面の段差等がなく一体構造の広い空間となっているエレベーターや階段で昇降する2F以上は客室棟の部分に限られていることが実感できる。

Part.3は宿泊プランと客室



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2020年04月17日

【序章】
 2020年の冬は暖冬で東北のスキー場も軒並み雪不足で開場が見送られる状況が続いた。
節分を迎える2月は例年宮城蔵王一泊のスキー旅を行っていたが今回は山に向かう旅を見送り海方向で三陸沿岸地にある大船渡温泉訪ねることとした。

【大船渡への道筋① 陸前高田市迄】
 仙台市内から岩手県南部沿岸地域に向かう基本的な道筋は国道R45を北上するが東北大震災後の復興道路とされる高規格の三陸道が延伸整備されており成瀬奥松島IC以北は無料区間となっている。

三陸道登米-小泉地理院

但し2020年2月の時点では宮城県内の小泉海岸IC~本吉津谷ICと
三陸道小泉-気仙沼地理院

気仙沼市内の気仙沼中央IC~唐桑南ICが未整備で並走する下道のR45を併用することになった。
三陸道気仙沼-碁石海岸地理院

気仙沼市唐桑町から三陸道のトンネルで県境を越え岩手県陸前高田市に入り道の駅高田松原の誘導看板に従い陸前高田長部ICからR45に降りて広田湾に沿って暫く進むと気仙川を渡った先の海側に新装された道の駅の大きな施設が現れる。

【道の駅高田松原と高田松原津波復興祈念公園】
道の駅陸前高田周辺地理院

 ここには道の駅の基本となる休憩や供食、物販機能の他に東北大震災に依る津波災害の伝承館が併設されている。
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  高田松原津波復興祈念公園
施設の海側は嘗て千本松原の美景の地で現在は国設高田松原津波復興祈念公園として高い防波堤が築かれており堤頂に至る階段が遠望できる。
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  堤上の献花台
この階段上には津波の犠牲者を追悼する献花台が設えられて文字通り祈念の場となっている。
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  広田湾の景観
階段を昇り詰めた堤頂に至って初めて広田湾の景色を目にすることができる。コンクリートで固められた防波堤の海側に植樹された幼木は高田松原再生の事業であろうか。

【余談: 防波堤の弊害】
 高田松原津波復興祈念公園は新たに築かれた高い防波堤(防潮堤)に守られているが東北大震災の復興計画の過程では高い防潮堤の建設に少なからぬ異論が唱えられている。その理由は二つ。
 第一は海岸線に立ちはだかる10m超の堤防は目視で海の様子を観察する視界が目隠しされてしまい日常生活の臨機応変な対応に支障が生ずること。
 第二は防潮堤の高さを超える津波に襲われた場合は防護する筈の堤内が浸水して排水も困難となり被害が拡大すること。実際に2011年の東北大震災では過去の度重なる津波の防護策で二重の防潮堤を築いていた岩手県田老町は鉄壁の守りを超える津波に襲われている。
 この様な経緯から宮城県気仙沼市で県が進める高さ13mの防潮堤建設に地域住民の異論が湧いたが県知事は耳を傾けるよりも強硬姿勢を貫いている様に見える。

【奇跡の一本松】
 閑話休題。
高田松原津波復興祈念公園に達する手前の国道上から気仙川河口左岸に立つ奇跡の一本松が遠望できたがその周辺はダンプトラックが出入りする土木工事の最中で立ち入りが制限されている。
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  奇跡の一本松
但し津波復興祈念公園の中からは専用の遊歩道が整備されており徒歩での接近が可能となっている。
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  一本松
松の根元にはライトアップの照明設備が設置されているが嘗て流されずに生き残った奇跡の一本松は塩害で枯れてしまい
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  一本松
現在はその枝振りを再現したレプリカが当時を偲ぶモニュメントとして残されている。
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  気仙中の遺構
なお一本松の背景に見えている3層の構築物は気仙川の対岸に位置する気仙中学校の遺構である。

【大船渡への道筋② 大船渡市迄】
 道の駅高田松原から先は山側に迂回する三陸道に乗らず海側のルートを辿るR45を進むと太平洋に突出する広田岬の基部に聳える箱根山(標高445m)の裾野を通過する通岡(かよおか)峠を越えて大船渡市に入る。峠から九十九折りの坂道を下っていくと車窓右手に大船渡湾の景観が現れる。

【大船渡温泉の位置】
大船渡温泉位置図Mapion

 海岸線に沿う県道を少し進むと左手に現れるオーシャンビューホテル丸森の施設前で分岐する信号機のある交差点を鋭角に右折した市道の海側丘陵地に聳える建物が現れる。これが大船渡温泉の施設で市道から僅かな距離を上った建物前が駐車場となっている。

【大船渡温泉の外観】
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  大船渡温泉建物の外観
 駐車場から海側に建つ施設を見上げると5層の鉄筋コンクリート(RC)造で
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  玄関
手前に張出した玄関が来訪者を迎えている。

Part.2は大船渡温泉の館内



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2020年04月10日

【朝食】
 翌朝の食事は前夜の夕食とは異なり宴会棟1Fの会場に案内された。
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  朝食会場
客室棟別館の部屋からは宴会棟の階段を1Fに降りた先で
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  朝食会場への通路
朝食会場の看板が置かれた分岐点から専用通路を進み
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  通路の奥
左に折れた位置から入室する
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  中宴会場
中宴会場である。
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  中宴会場の室内
室内は畳敷きの和室に木造りのテーブルと椅子を配置した今風の設えとなっている。会場に用意された朝食は僅か一組のみで我々以外の宿泊者が居なかったことが確認できた。
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  朝食膳
テーブル上に用意された朝食膳は純和風の8品で構成されていた。
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  焼鮭と温泉卵
焼魚の鮭は朝食の定番で蓋付鉢の蓋穴に立つ温泉卵は最近あまり見かけない昔風の雰囲気を醸している。
手前はシメジやインゲンを添えたり干し大根の小鉢で
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  お浸しと海苔
蕨のお浸しと焼海苔に加えて
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  納豆と漬物
小包の納豆に漬物の小皿が並んでいる。
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  温泉卵
小鉢に温泉卵を割り落とし納豆も加えて
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  ご飯と味噌汁
ご飯と味噌汁を戴き
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  牛乳とデザート
食後の牛乳と果物で朝食を終えた。

【チェックアウト】
 朝食の後は例に違わず朝風呂で温泉に浸かり巣郷温泉の名残を惜しんだ。
 チェックアウトの清算では基本的な宿泊釜めし定食プランの料金は単価@7300に10%の消費税@730と入湯税単価@150を加えた@8180×2=\16360でこれに昨夜の冷酒\650+消費税¥65と暖房料\100が加算された総額\17175の会計を済ませた。
温泉宿で300mlの冷酒は\800~\1100が相場で宿に依っては\1500程の高額設定もあるので税込\715は良心的でありがたい。
 静山荘からはR107の国道を西に進んで一旦秋田県の横手市に入り山形県を縦断南下するR13を経由して帰宅の途に就いた。



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2020年04月03日

【宿泊プラン】
 序章で一泊¥8000程と記した以外に今回の宿泊プランを紹介していなかったがその内容は「釜めし定食」ボリューム控えめで女性や小食の方にもオススメとされたものであった。
宿の紹介や口コミの情報に依ると多数の料理が食べきれないとの声から品数を絞りその分割安料金に設定した新たなプランとされている。

【夕食】
 夕食時間に案内された場所は宴会棟2F大宴会場の大広間や1Fの食事会場ではなく客室棟別館隣室の萩の間で部屋の造りは百合の間と変わらぬ10畳間であった。
宿泊者が少ない閑散期の宿で隣接の客室を夕食会場とする設定は鳴子温泉久田旅館や肘折温泉金生舘でも経験している。客室とはやや趣が異なるが鶯宿温泉の寿広園も隣室が夕食会場であった
 座卓上に配置された釜飯御膳は
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  夕食膳
奥に控える羽釜で炊く釜飯コンロの他に6品の料理が並んでいる。
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  焼魚とキノコ
釜飯の右手前はモロッコインゲンを添えた白身の焼魚で脂がのって美味だがムツか銀タラか見分けがつかない。
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  お造り
焼魚の手前はマグロの赤身と白身魚の刺身皿。白身魚の知識は少ないので魚種は不明だが鯛や鰤とは異なる淡泊な食感であった。
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  キノコのみぞれ和え
左側の鉢は紅葉下しを載せたキノコのみぞれ和えで
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  炊き合わせ
釜飯の左手前にある蓋付鉢の中身はチンゲン菜やピーマンにエビを添えた蕪の炊き合わせで薄味の挽肉出汁に仕立てられている。
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  茶碗蒸しと漬物
炊き物鉢の手前は茶碗蒸しにご飯のお伴となる茄子や胡瓜の漬物小皿が並ぶ。茶碗蒸しは鶏肉に椎茸、三つ葉の定番具材に加わるコーンが珍しい。
 ボリューム控えめとされる夕食膳だが刺身の二種盛りに和え物、焼魚、煮物、蒸し物と一通りの料理が供された。
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  冷酒
大食漢には品数や量的に物足りないのかも知れないが個人的には十分で高清水の冷酒を添えて味わった。
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  釜飯と味噌汁
温泉宿の夕食ではご飯を省略することが多いが釜飯御膳の主役である釜飯は芋の子汁と漬物をお伴に賞味した。
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  釜飯
山野菜の釜飯に添えられた大振りの栗の実が秋の季節を感じる存在であった。
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  デザート
釜飯の食後に供されたケーキとパイナップルのデザートを戴き夕食を終えた。

Part.5は静山荘の朝食


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2020年03月27日

【静山荘の温泉浴場】
 Part.1で既述の通り静山荘の温泉は宴会棟の山側に向き合って建つ浴場棟にあるので
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  浴場入口
客室棟別館の部屋から向かう2F通路は大宴会場を左に見て進んだ右奥に入口が配置されている。
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  男湯暖簾
突当りに見える紺色の暖簾が男湯で
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  女湯暖簾
通路方向に振り返ると対称位置に懸かる朱色暖簾が女湯の入口である。

【脱衣室】
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  脱衣室
 紺暖簾の奥は小振りな脱衣室の空間で
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  脱衣棚
左壁面は脱衣棚が設置され
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  洗面台
右奥の壁面に2基の洗面台が置かれている。
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  浴室とのガラス隔壁
更に洗面台の右奥に浴室が配置されているが脱衣室との隔壁は全面ガラス張りで浴室内を見通せる開放的な構造となっている。

【浴室】
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  浴室から見る脱衣室内
 ガラス戸を引き開けて入った浴室側からも脱衣室の主要な部分を視認できる。
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  浴室内部
タイル張りの浴室内は手前に計5基のシャワー栓を左右に振り分けて配置した洗い場で
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  内湯の浴槽
外壁に接する右奥に長方形の隅切を施した5角形の浴槽が配置されている。
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  湯口
浴槽右奥隅の湯口の塩ビパイプから湯が注がれているが
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  蛇口の湯栓
手前の洗い場側にある湯水独立の錆付いた蛇口の湯栓からも注入されている。
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  透明湯
二つの湯口から注がれる浴槽は底面迄視認できる透明な湯で満たされ縁から越流した温泉の成分が蓄積して変色した床面の痕跡があるが
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  二箇所の開口
槽内にある二箇所の開口を認めて源泉掛け流しに疑義を感じた。その一つは底面にあり清掃用の湯抜きに見えるが目皿を被せた大口径で密栓されておらず循環用の汲湯口にも見える。更に湯口直下の壁面にある小さな穴は循環湯の給湯口ではないだろうか。
翌朝に女将から聞いた話では露天風呂は源泉掛け流しの為手動で給湯量を調製する温度調整は極めて難しいとのことであった。翻れば内湯浴槽は源泉掛流しではなく自動加水に依る温度制御や循環濾過再加熱制御等の装備を想像できる。

【露天風呂】
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  内湯の窓外
 内湯浴室と屋外を仕切る全面ガラス窓の外には露天風呂の景色が見えている。
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  露天への通路
内湯浴槽の左側通路の奥に設けられたガラス引き戸が露天風呂の出入口で
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  露天の浴槽
内湯浴室の外壁ガラス窓に沿って露天の浴槽が配置されている。浴槽は3~4名程で満杯となる小振りな空間だが外景を望む山側の石組みが野趣を添えた造りが好ましい。
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  謎の蛇口
この浴槽では奥の竹垣から突出し鮮やかな青色の保温材を纏った蛇口が目に付くがこの蛇口を捻っても湯も水も注がれることがない謎の存在であった。
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  給湯口
その変わりにが同じ竹垣から浴槽底部に伸び細い塩ビ配管が浴槽に給湯する唯一の存在でその末端部に手を添えると熱い湯の流れが確認できた。これが源泉掛け流しの湯源と思われる。
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  露天風呂全景
露天風呂の全景は石組みの山側からが唯一の視点で窓越しに内湯の浴室内も見える見通しに優れた明るい行動となっている。
 男湯は内湯浴槽と露天共に適温で入浴できたが同行者に依ると女湯の露天風呂は熱すぎて入浴を断念したとのことであった。翌日の朝食時にこれを女将に告げると先に紹介した通り露天風呂は源泉掛流しで温度調整が難しいとの話になったが朝食後には女湯の露天浴槽も入浴可能な温度に調整されたとか。短時間に少なからぬ冷水が注入されたのではないだろうか。

【源泉の泉質】
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  泉質の表示
 脱衣室の壁面に掲げられている温泉の成分表示は2011年(平成23年)11月25日の日付が付されており
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  源泉名と泉質
泉温76.4℃(採取時の気温は14.8℃)の源泉は巣郷温泉混合泉(巣郷温泉3号泉と秀衡の湯)の名称でナトリウム-塩化物·硫酸塩温泉(低張性アルカリ性高温泉)の泉質の使用位置温度は70.8℃と表示されている。複数の源泉井戸を混合した源泉であろうが施設名の表示が見当らないので混合源泉と使用位置の温度測定位置が不明である。源泉名から想像すると巣郷温泉郷の各宿が共有していると思われそのいずれかの浴場が使用位置とされているのではないだろうか。
固有の施設名表示が無い協同組合管理の様な源泉の成分測定点の所在は常に謎である。
 組成の分析値欄に依ると温泉1kg中にナトリウムイオン(Na+)464mg、カルシウムイオン(Ca++)54mg、塩化物イオン(Cl-)425mg、硫酸イオン(SO4--)507mg、炭酸水素イオン(HCO3-)36mgが主要な成分となっており塩化ナトリウム(食塩)や硫酸ナトリウムが溶存する比較的単純な泉質だがpH値8.6のアルカリ泉質は肌に纏わるヌルヌル感の源である。

Part.4は静山荘の宿泊プランと夕食


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